SES会社に所属しているエンジニアの皆さんは、自分の会社の商流について考えたことはありますか?
商流というのは「受注・発注などの取引関係の流れ」のことですが、これを意識しないと給料が低かったり、給料が上がらなかったりとエンジニア自身が不利益を被る場面が出てくることがあります。
この記事では、
- どのようなSES会社の商流が深くなるのかを確認したい
- 商流が深い場合にどのようなデメリットがあるのかを知りたい
- 商流を浅くするにはどうしたらよいか知りたい
というエンジニアの方向けに、どのようなSES会社の商流が深くなってしまうのか、商流が深いSES会社に所属するとどのようなデメリットがあるのか、エンジニアが商流を浅くするにはどうしたら良いのかについて解説していきます。
この記事の目次
商流の深いSES会社とは?
結論からいうと、以下のようなSES会社は商流が深くなりがちです。
- 社歴が浅い
- 資本金が少ない
- 社員数が少ない
- 財務状況が良くない
- 一般派遣免許を持っていない
- 営業のレベルが低い
商流を浅くするには、いかに発注元に近いところで契約できるかが重要です。
ですが、発注元が古い大手の会社だったりすると、契約に関して保守的な傾向が強く、リスクや手続きの煩雑さを避けるために取引先を制限している場合があります。
というのも、大手の発注者が新たな会社と取引を開始するには、まずその会社の調査や与信を行い、「取引先口座」というものを開設する必要があります。
これは相手企業の取引リストに載るというもので、この口座にある会社のみと取引を行うことで事務作業や管理作業を軽減しています。
取引先口座が開設されないとその企業と取引を行えないのですが、資本金などの財務状況が良くなかったり、社歴が浅い、規模が小さい会社の場合はそもそもこの審査を通過することができません。
そのため、発注元と直接契約ができず、間に仲介会社をはさむ必要があるというわけです。
また、一般的な業務委託契約では現場から直接指示を受けられないため、現場に複数のエンジニアを送り込み、そのうち1人をリーダーとしてその人の指示に従って作業をすすめるということがありますが、同じ現場にそれなりのスキルを持ったメンバーを送り込めるようなある程度社員数のいる規模の大きい会社でないとエンジニアを送り込むことができません。
業務委託契約にもかかわらず現場の指揮命令を受けてしまうと、偽装請負となってコンプライアンス的に問題ですが、大企業ほど法律違反のリスクに非常に敏感ですので、コンプライアンスの意識の低い小規模なSES会社はますます嫌がられます。
これが派遣契約であれば現場の指揮命令を受けられるので1人でもエンジニアを派遣することができますが、そもそも派遣業の許認可には資産や現預金の基準があり、それをクリアしないと派遣契約を結ぶことができません。
さらに、発注元に近くなるほど営業に求められる役割や責任も増えていくので、大手企業と契約するには能力不足であったり、そのような役割を回避して下流の商流に甘んじているケースもあります。
発注元が古い大手企業でない場合は直接契約できるケースもありますが、このように業界の商習慣、会社の信用や営業力の問題で発注元と直接契約できず、間に多数の仲介会社を入れることになって商流が深くなっていくのです。
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商流が深いことによるデメリットとは?
商流が深いことによるデメリットは主に以下の2つがあります。
- 商流が深いほど何度もマージンが中抜きされていくので、給料が少なくなる
- より高付加価値な上流工程に携わることが難しい
それぞれ詳しく解説していきます。
商流が深いほど何度もマージンが中抜きされていくので、給料が少なくなる
商流が深いということは、間に多くの仲介会社が存在するということです。
これらの仲介会社はその案件に対して自分の会社のエンジニアを送り込むわけではありませんが、案件情報提供の見返りとして10~30%程度の手数料を取って行きます。
そのような会社が何社もあれば、実際に稼働するエンジニアが所属するSES会社の受注額が少なくなりますので、その中から捻出されるエンジニア自身の給料も少なくなるというわけです。
では、エンジニアの希望に沿ったなるべく高い単価で契約を受注すればよいのではないかと思われるかもしれませんが、それもそう簡単ではありません。
同じSES会社の営業といっても、エンジニアのことだけを考えば良いのではなく、案件を紹介してくれる他の協力会社などの利害関係者のことも考えないとうまく受注することはできません。
十分な稼働実績があり、発注元と直接取り引きできて営業力のある会社であれば、発注元に単価増額要求を出すことができるかもしれませんが、営業力が低く案件を他の協力会社に依存しているSES会社の場合、下手に単価増額交渉をすると協力会社の利益が減るか、その協力会社が更に上流の仲介会社に増額要求をするなど手間が発生します。
そのような単価増額要求をするようなSES会社は、煙たがられて契約を取れなくなってしまいます。
このように、商流の深いSES会社は利害関係者が多くなることで単価交渉がしづらかったり、案件失注を恐れてそもそもそのままの単価を受け入れがちとなるため、会社自体の受注額が少なくなり、エンジニア自身の給料も低いままとなってしまうのです。
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商流が深いと、より高付加価値な上流工程に携わることが難しい
商流が深いことによるデメリットの2つ目として、設計や要件定義などの上流工程の経験を積むことが難しくなってしまうことが挙げられます。
例えば、大規模開発の場合、直請けの会社が要件定義や設計だけして、実際のコーディングは下請け会社にやらせていることがあります。
こういった直請け会社はコーディングに対する評価が低く、設計書がしっかりしていればコーディングするのは誰でも問題ないと考えていたり、コーディング自体はお金にならないと考えていることがあります。
このような会社はコーディングは納期通りに設計書通りの機能が動いていれば問題なく、コードの可読性や保守性は大して問題ではないと考えていますので、リファクタリングも十分されていない技術的負債だらけのコードを保守することになり、その現場で働くエンジニアのスキルレベルは大して向上しません。
開発への理解の乏しい現場で働いても、エンジニアのスキルアップに役立つものはほとんどありません。
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商流飛ばしは業界のタブー
発注元に近いところで契約することが難しくても、案件を紹介するだけで手数料(マージン)をとっている会社があるのなら、その会社を省いてよりなるべく上流の会社と直接契約を結べば良いのでは、と考えるかもしれません。
もし、仲介会社を省くことができれば、中抜きする会社を少なくでき、受注額を上げることができます。
ですが、そのような仲介会社を省く行為は「商流飛ばし」と呼ばれ、業界のタブーとされてます。
というのも、仲介会社にとってその案件情報は飯の種であり、それを提供したまま利益を逃すほど甘くはないからです。
まず、契約書の中で商流飛ばしをした際のペナルティの項目を追加したり、商流飛ばしが発覚した場合は取引を停止するなどの対策が講じられています。
直接商流飛ばしをされた会社でなくても、商流を飛ばされた会社の営業とのつながりで商流飛ばしの情報が広まり、リスク回避のために取引を停止される恐れもあります。
このような業界の利益構造から、新興のSES会社が商流を浅くしていくことは難しい現実があります。
もちろん、そのような慣習にとらわれない新興のIT企業などと直接契約を結ぶことは、古い大企業と契約を結ぶのと比較すればそれほど難しくはありませんが、そのような企業はまだ会社の規模が小さかったりして募集人員が少なかったりすることもありますので、少ない枠を多くのSES会社で奪い合うことになります。
関連記事:今の現場を変えたい!SES系エンジニアが案件を選ぶコツとは?
SES会社に所属するエンジニアの商流を浅くするには?
では、SES会社に所属するエンジニアが商流が浅くするにはどうしたら良いのでしょうか?
そもそも未経験でこの業界に入ってきたエンジニアにとっては、受け皿となる会社が商流の深いSES会社しかなかったということもあるかと思います。
業界として会社の商流を浅くすることが難しいのであれば、どうすればエンジニア自身の商流を浅くすることができるのでしょうか?
その方法は実務経験を積んでスキルアップし、今の会社を飛び出して、より商流の浅い会社に転職または商流の浅いフリーランスエージェントに案件を紹介してもらうことです。
また、高いスキルレベルが求められる場合がありますが、商流とは無縁の自社開発企業のエンジニアになるという手も考えられます。
未経験で業界に参画してきてお世話になった会社に恩義を感じているエンジニアもいるかと思いますが、 いつまでも同じ会社にとどまるだけではなく、いずれはその会社を離れてキャリアアップをすることも考えた方が良いかもしれません。
ここまで記事を読み進めて、
「商流を浅くするために今の会社を飛び出すしかないことは理解したけど、どうすればよいのか…」
「商流が浅い給料が高い会社や自社開発企業に入りたいけど、どうやって転職すればよいのか…」
「給料の低い会社を辞めてフリーランスエンジニアになり、高単価案件を獲得したい!」
という方もいるかと思います。
そういう場合は、IT・Web業界への転職を考えている方にレバテックキャリア、フリーランスエンジニアになって高単価案件を獲得したい方にレバテックフリーランスをオススメします。
私もSES会社を抜け出してフリーランスエンジニアになりましたが、以前会社に所属していたときとは比べ物にならないほど報酬が多くなりました。
一般的な例ですと、フリーランスエンジニアであれば、実務経験が2~3年程度あれば月単価60万円は十分狙えます。
今の給料に不満がある方は、転職やフリーランスエンジニアへ転向することによって、自分の収入を上げていくことができます。
これらのサービスへ登録したからといって、必ずしも転職したりフリーランス案件を受注しなければならないわけではありません。私もレバテックフリーランスに登録して、実際にフリーランス案件を獲得するまで1年近く期間がありました。
レバテックフリーランスの担当者にそれまでの現場をしばらく継続することにしたと話したところ、特に引き止められたり、無理に案件を紹介されることはありませんでしたし、その後に案件を獲得するときも何の問題もなく、わずか2~3日という短期間でフリーランス案件を獲得することができました。
このように、早めにこれらのサービスに登録してプロのエージェントに相談することで、自分の知見を広げることができますし、希望の案件が出てきたタイミングですばやく行動して、案件獲得につなげることもできます。
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最後に
SES契約では、二重派遣が禁止されている派遣契約とは異なり、多重下請け構造となりやすいので、商流が深くなりがちです。
それにより、エンジニアの給料が低くなったり上流工程に携わるのが難しいなど、不利益を被ることが多々あります。
転職やフリーランスエンジニアへの転向によって商流を浅くすることが可能ですので、今すぐ転職やフリーランスエンジニアへの転向を考えていない場合でも、プロのエージェントに相談したり、どのような案件があるのかを確認するために、これらのサービスに登録してみてはいかがでしょうか。