SES会社を辞めたいけど辞められないということはありませんか?

エンジニアになるために、未経験でも入りやすいSES会社に就職した人も多いと思います。

退職を考えている人の中には、

「どのタイミングで辞めてよいのかわからない」
「退職時にトラブルになるのが怖い」
「どうすれば円満に退職できるのかを知りたい」
「精神的、肉体的にキツいので、なるべく早く会社を辞めたい」

という人もいることでしょう。

この記事では、SES会社を辞めたいのに辞められない理由とその対処法、うまく会社を辞めるコツについて解説しています。

SES会社を辞めたいのに辞められない理由とは?

SES会社を辞めたいのに辞められない理由としては、

  • 契約期間がまだ残っている
  • 開発やプロジェクトがまだ途中である
  • 会社やプロジェクトメンバーなどに申し訳なく思っている
  • 所属するSES会社が退職を認めてくれない
  • 新卒入社したばかりである
  • スキルアップできておらず、他のIT企業に転職する自信がない
  • 年齢が若くなく、転職するのが難しい

などが挙げられるでしょう。

以下で、1つずつ詳しい内容と対処法について解説していきます。

1.契約期間がまだ残っている

SES契約では、契約開始月によっては期間が短くなることもありますが、3ヶ月の更新となることが多いです。私の経験では、エンジニアが一時的に少なくなった関係で、6ヶ月契約となったこともありました。

契約期間が残っているうちの退職は、会社間で契約の変更が必要だったり、代わりの人員をすぐに確保できないなどの理由で会社が難色を示す可能性が高いです。

ですので、契約満了で更新しないようにするのが、円満に退職する一番良い方法です。
円満に退職する方が、有給休暇の消化や退職の手続きなども柔軟かつ円滑に対応してもらえる可能性が高くなります。

ただ、精神的、肉体的に厳しくてどうしても早めに辞めたい場合は、その旨を伝えることで会社が特殊なケースとして応じてくれることもあります。

また、会社側に伝えても対応してくれない場合は、退職代行などの手段を取ることによって辞めることもできます。

本来であれば、SES契約を締結しているのは会社間であって従業員ではないので、雇用契約を終了した後の残りの期間の人員を確保するのは会社側の仕事です。

ですが、SES業界は仲介会社も含めた多重下請構造となっていることが多く、契約を途中で変更したり、契約途中で人員を入れ替えるのが難しいこともあるでしょう。

SES契約の契約当事者ではないとはいえ、雇用契約を結んでいる以上、会社の一員として会社間の契約を守らなければならないこともありますので、どうしても早めに辞めなければならないという事情がない限りは、SES契約の終了に合わせて辞めるのがよいでしょう。

2.開発やプロジェクトがまだ途中である

準委任契約の一種であるSES契約では、受注側に善管注意義務はありますが、完成責任と瑕疵担保責任はありません。

善管注意義務とは、業務を委任された人の職業的、専門的能力や社会的地位などから期待される注意義務のことです。

このため、自分が担当している作業やプロジェクトが終了していない段階で、契約期間の終了と合わせて現場を抜けた場合でも、引き継ぎなどをしっかり行っていれば、仮に自分の担当したプログラムがまだ途中でバグが含まれていたとしても、法的にはまったく問題ありません。

ただ、引き継ぎなどに協力的でなかったり、契約途中で現場をバックれたりすると、善管注意義務違反となり、法的に問題が発生する可能性もあります。

ですので、退職するからといって残りの業務は手を抜くのではなく、自分が現場を離れた後も円滑に業務が行われるように、積極的に協力するようにしましょう。

3.会社やプロジェクトメンバーなどに申し訳なく思っている

プロジェクトを途中で抜けることによって、本来自分が担当するはずだった作業を他のエンジニアが担当しなければならなかったり、人員が少なくなることによって、他のプロジェクトメンバーの負担が増えてしまうことを恐れて、辞めることを躊躇してしまう人もいます。

また、業界未経験で採用してくれた会社側に恩義を感じたり、自分が辞めなければしなくても良い対応を会社側がしなければならないことに罪悪感を感じてしまう人もいるかもしれません。

場合によっては、会社や現場の上司などに嫌味を言われたり、パワハラなどの嫌がらせを受けるかもしれません。

ですが、それらを恐れて行動しなければ、事態が変わることは決してありません。

仮に人間関係がギクシャクしたとしても、退職までの1ヶ月間ほどの話ですし、退職したら人間関係もそこで終わります。

他の会社や現場でまた一緒になる可能性も決してないわけではありませんが、そうなるということはその人も前の会社や常駐先を辞めているということなので、それほど気に病む必要はありません。

SES会社を辞めたいという意思が固いのであれば、周りに流されずにその意志を貫くようにしましょう。

4.新卒入社したばかりである

新卒入社したばかりだけど会社を辞めたいという人は、どの業界にもある程度います。

会社や業界の問題ではなく、それまでの学生生活と責任ある社会人として働く生活のギャップが大きいために自分に合っていないように感じてしまうことがよくあります。

ですので、社会人としての経験を積むことによって、次第にその生活に慣れて、そのようなギャップが小さくなることも少なくありません。

入社した会社がブラック企業である場合は、一旦辞めて再スタートするのも一つの手ですが、社会人経験の少ない人がブラック企業を明確に見分けられるのかはやや疑問で、単に会社のやり方が気に食わないからブラック企業と決めつけている可能性もあります。

ただ、新卒後にSES会社に就職して鬱になって辞めた人の話も聞いたことがありますので、心身に支障をきたすほどの問題が発生しているのであれば、早急に辞める方が良いです。

新卒入社後3年以内に会社を辞める人はある程度の数いますので、25歳くらいまでであればまだ年齢によるアドバンテージがあり、未経験でも比較的採用されやすく、市場価値にそれほど大きな差が開くこともあまりないでしょう。

ですが、その状態を20代後半や30歳近くまで続けてしまうと、かなりまずいことになります。

そのぐらいの年齢になると、新卒入社組は一定のスキルが身についてきて、一部はマネジメント業務を行うこともあり、市場価値の差が急激に開き始めます。未経験採用は人手が足りていない業種に限られ、人気職種への転職は難易度がかなり上がります。

そのため、どうしても新卒入社した会社を辞めるのであれば、他の人が遊んでいる間も学習やスキルアップをして、周りと差をつける相当な覚悟と努力が必要です。

単に今の会社で働くのがつらいからといって安易に転職したり、フリーターになったからといって、人生が好転するとは限りません。

単なる逃げではなく、明らかに今のSES会社がおかしい場合は、まだ若く自社開発企業などにも育成枠で採用してもらえる可能性があるうちに退職するのも良いでしょう。

そのような場合でも、在職中に転職先を決めておく必要があるのはいうまでもありません。

5.所属するSES会社が退職を認めてくれない

SES契約の期間中ならともかく、契約期間終了後であっても、所属するSES会社が退職を認めてくれないこともあります。

採用活動や研修などに費用がかかっていて、短期での退職となる場合はまだそれらのコストを回収しきれていないこともあり、そのまま退職されると利益にならずに終わってしまうからです。

会社側はあの手この手で引き止めようとしたり、しつこく説得して翻意を促そうとすることもあります。

場合によっては、法的に問題がないのに損害賠償を請求すると脅しをかけてくる悪質なSES会社もあります。

ですが、会社に従業員が辞めることを阻止する権利はなく、SES契約上も善管注意義務を守っていれば、法的に問題になることはまずありません。

どうしても辞めさせてくれないという場合は、退職代行などのサービスでプロに任せる方が法律に関する余計な心配をする必要もなく、転職活動に注力できます。

ただ、退職代行などで事を荒立てたくない人は、辞めることは譲らないにしても、それ以外はある程度協力したり譲歩することによって、会社側が態度を軟化させて退職を認めてくれる可能性がありますので、うまく立ち回ることも必要です。

6.スキルアップできておらず、他のIT企業に転職する自信がない

SES会社で客先常駐の仕事をしているものの、スキルがまだ十分に身についておらず、他のIT企業に転職できないと考えている人もいると思います。

その場合でも、まだ若ければ育成枠で採用してくれる自社開発企業もありますので、まだ退職しないとしても一度レバテックキャリアなどの転職エージェントに登録して相談してみると、案外よい企業を紹介してくれることもあります。

スキルアップしてから転職したいという人は、プログラミングスクールの転職支援を活用して転職することがオススメです。

以下の記事で、スキルに自信がないSES会社のエンジニアが効率的にスキルアップして、自社開発企業へ転職する方法について紹介していますので、ご興味がある方は参考にしてみてください。

記事:SES会社から自社開発企業へ転職する方法【効率的にスキルアップ】

7.年齢が若くなく、転職するのが難しい

年齢が若くなく、他のIT企業に企業へ転職するのが難しいと考えている人もいることでしょう。

自社開発企業などは若くて成長意欲のあるエンジニアを好む傾向がありますので、そのような企業への転職は難しいかもしれません。

ですが、いつまで今のSES会社で働き続けられるかはわからず、手をこまねいているとリーマンショック時のような景気後退で所属するSES会社の経営が傾き、解雇されて行くあてがなくなってしまうこともあります。

そうならないようにするには、副業などで複数の収入源を確保しておくのがオススメです。

そうすれば、最悪どれか一つがコケても他の収入で生活を維持する事ができます。

副業としては、週1、2日の開発案件やクラウドソーシングによる開発案件、せどりなどの転売、アフィリエイト、情報商材の販売、株式投資などがあります。

できれば労働収入ではなく、何らかの稼げる仕組みをつくって半自動的に収入を得る形にする方がよいでしょう。

そうしておけば、万が一心身の問題で働けなくなっても食い扶持を稼ぐことができます。

ただ、そのような稼げる仕組みを構築する時間や資金がないということもあると思います。

その場合は、フリーランスエンジニアになるというのも一つの手です。

すでに一定の実務経験を積んだエンジニアであれば、フリーランスエンジニアになることで大幅に収入を増やすことができ、週2、3日勤務やリモートワークなどの自由な働き方をすることもできます。

そうやって確保した資金や時間を別の事業に投資して、新たな収入の柱として育てていくのです。

フリーランスエンジニアになることで会社員よりも安定性が下がることを懸念される人もいると思いますが、そのまま何も手を打たずに会社員を続けるだけでは決して安泰とはいえません。

また、フリーランスエンジニア向けのエージェントの中には、Midworksのように正社員並の保証がついている珍しいものもあります。Midworksなら中間マージンも少なく、給与保証制度があり、一部週2、3日案件やリモート案件も扱っていますので、非常にオススメです。

このように、会社員以外でも比較的安定して働く方法もありますので、すぐにSES会社を辞めることは考えていなくても、一度フリーランスエージェントに登録してみて、どのような働き方ができるのかを相談してみると良いでしょう。

以下の記事で、フリーランスエンジニアのメリットとデメリットもまとめていますので、ご興味がある方は参考にしてみてください。

記事:フリーランスエンジニアのメリットとデメリット【経験者が詳しく解説】

SES会社をうまく辞めるコツとは?

SES会社をうまく辞めるコツとしては、

  • 早めに所属SES会社の担当営業に辞める意思を伝える
  • 会社や担当営業に説得されても、退職の意思を曲げない
  • 早めに転職活動を開始し、転職活動していることを会社に伝える
  • なるべく早く会社を辞めたければ、退職代行を使う

などが挙げられます。

これらを参考にすることによって、なるべく円滑にSES会社を辞めることができるでしょう。

以下で、1つずつ詳しく解説していきます。

1.早めに所属SES会社の担当営業に辞める意思を伝える

SES会社を辞めたいと考えているのであれば、なるべく早くその意思を担当営業などに伝える必要があります。

特に契約更新をまたいでしまうと退職の機会が3ヶ月後などになってしまうこともありますので、契約更新前の早いタイミングで辞意を伝える事が重要です。

このように早めに辞める意思を示すことによって、会社側が代わりの人員を確保したり、調整する時間を確保できます。

退職の意思を示すには電話で伝えるのが確実ですが、タイミングが合わなかったり話をはぐらかされることもありますので、電話だけでなく形に残るメールでも、後で水掛け論にならないように曖昧ではなく明確な内容と表現で伝えることがポイントです。

できれば、会社側が確認したことがわかるように、返信してもらえるような文面にしておくと良いでしょう。

こうすることによって、契約更新の意思をしっかり確認しないまま、会社側に勝手に契約更新されてしまうのを防げます。

中にはノリや勢いで押し切ろうとする営業もいますので、契約更新しないことと退職する意思を明確に伝えるようにしましょう。

早めに辞める意思を示しておかないと、交代人員を確保できない、現場との調整が難航するということがあります。

こうなると会社側が不利になり、責任をなすりつけられたり、不当な扱いを受けることにもなりかねません。

2.会社や担当営業に説得されても、退職の意思を曲げない

辞めたいと意思表示すると、 会社や営業があの手この手で慰留しようしてくることがあります。

場合によっては、損害賠償をちらつかせてくることもあります。

ただ、前述したとおり、SES契約には善管注意義務はありますが、完成責任はありません。

勤務態度に問題なければ、契約終了後に辞めることは法的には何ら問題はありません。

このため、会社や営業に説得されても自分の意思を曲げずに、会社を辞めることを覆さないことが重要です。

また、曖昧な態度を取ると勝手に契約更新の話を進められて逃げ道をふさがれ、契約を盾に退職を拒否されたり、退職時期をずらされる可能性もあります。

すでに転職活動がある程度進んでいると面倒になるので注意が必要です。

ですので、辞める意思を伝えたら、よほどの事情がない限り翻意したり、曖昧な態度を取ることはないようにしましょう。

3.早めに転職活動を開始し、転職活動していることを会社に伝える

転職を決めたら早めに転職活動を進めて、会社在籍中に転職先を決めておくのが基本です。

でないと、退職後も転職先が決まらずに無職期間が長くなってしまい、焦りからあまり良くない転職先を選んでしまうことになりかねません。

人によっては、そのリスクを避けるために転職先が決まってから退職の意思を伝えたい人もいるかと思いますが、そうすると前述したとおり、退職がスムーズに進まないことがあります。

ですので、転職の意思がないうちでも、将来的に他のIT企業に転職する可能性があるのなら、あらかじめレバテックキャリアなどの転職エージェントに登録しておき、SES会社を辞める際にはスムーズに転職先を決めて退職できるようにしなければなりません。

そして、会社に退職の意思を伝えた後は、転職活動を行っていることも伝えることで、SES会社側に慰留や説得を諦めさせるとよいでしょう。

ただ、SES会社側が退職に寛容でしつこく説得してこなかったり、そうすることによって会社のことを考えずにただわがままで強行な態度を取っているように見えることがありますので、注意が必要です。

4.なるべく早く会社を辞めたければ、退職代行を使う

SES会社側がすんなり退職を認めてくれなかったり、嫌がらせなどをしてくることもあります。

場合によっては、法律に詳しくないことに付け込んで、損害賠償を請求すると脅してくることもあります。

大抵はただの脅しですが、法的な知識がない状態では対応するのが難しかったりします。

また、精神的、肉体的に疲弊していて、どうしても早く辞めなければならないこともあると思います。

このように、リスクを取りたくない、すぐにでも退職したい、自分では対応しきれずに専門家に任せたいという場合は、退職代行を利用して法律のプロに対応を依頼することもできますので、検討してみるのも良いでしょう。

忘れずに有給休暇を取得しよう

退職が決まったら、なるべく有給休暇はすべて消化したいものです。

ただ、引き継ぎの関係で契約終了月の月末まで現場にいなければならないこともあります。

私の場合は、退職時期を有給休暇日数分だけ翌月にずらしてもらうことで、その分の給与を日割りで受け取ることができました。

ただ、転職日が決まっている場合は転職手続きの関係でそのようなことができないこともあり得ますので、事前に余裕を持たせて転職日を決めるなど調整をしておく必要があります。

また、有休消化を会社任せにしておくと、その事を無視されて手続きを進められたり、有休日数をごまかされることもあります。

ですので、有給休暇の消化については、会社側の対応が一段落する時などタイミングを見計らって会社側に確認し、調整するのがよいでしょう。

場合によっては、退職間際ではなく転職活動期間中に取得する方がよいこともありますので、早いうちにどのように有休を消化すれば有利なのかを考えておきましょう。

最後に

いかがだったでしょうか?

SES会社を辞めたいのに辞められないと考えている人も多いかと思いますが、会社をうまく辞めるコツについてお分かりいただけたかと思います。

人によってはそのまま会社に残った方がよいこともあるかもしれませんが、どうしてもSES会社を辞めたいと考えているのであれば、ただ悩んでいても一向にその悩みが解消されることはありません。

行動しないと何も変わりませんので、あらかじめスキルアップや転職エージェントへの登録などの準備をしておき、一度SES会社を辞めることを決意したのなら、後は迷わず突き進むようにしましょう。

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