エンジニアとして日々常駐先で働かれているみなさんは
現在の給料に満足されてますでしょうか?
もし今の給料に満足されていれば問題ありませんが、
もしそうでなかったとしても
「まだまだ経験年数が短くてスキルが足りないから給料は低くて当然」
「日々の業務に忙殺されて給料の話どころではない」
「とりあえず今のところは生活できる程度の給料がもらえていればOK」
「エンジニアとしての経験年数が増えていけば自然に給料も上がっていくだろう」
なんて考えていないでしょうか?
一般的には給料は当人のスキルや経験年数などを
勘案して決められていると考えがちです。
ですが、実際にはそれ以外の要素も、むしろそれ以外の要素が
給料に反映されている度合いの方が大きいと言っても過言ではありません。
この記事では、主にSES会社に所属しているプログラマーの給料が低い理由をまとめましたので、
今の自分の給料に少しでも不満がある方は読み進めて頂ければ幸いです。
この記事の目次
SES会社の給料が安い理由
SES会社の給料が安い理由は主に次の5点があります。
1.エンジニア本人のスキル不足、経験年数の浅さにより会社からの評価が低い
→一般的に考えられる給料が安い原因で、一見もっともらしい理由です。
2.エンジニア本人の営業力が高くなく、低い給料のままになっている
→スキルはある程度あるにも関わらず、給与水準が低く抑えられているケースです。
3.所属しているSES会社にピンハネされている
→所属している会社の給与分配率が低いケースです。
4.商流(多重下請け構造)の問題
→意外と盲点となるのが商流の問題で、この問題を改善できればスキルや経験年数がそのままでも給料が上がる可能性が高いため、この点に気づいたエンジニアの多くは転職したりフリーランスエンジニアに転向したりします。
5.そもそも発注元の発注額が少なすぎる
→案件の選び方が間違っていて、SES会社が紹介する案件をそのまま受けているケースです。
こちらも案件の選び方を変えることによって、スキルや経験年数がそのままでも収入が増える可能性があります。
それぞれ、続きの記事で詳しく解説していきます。
1.エンジニア本人のスキル不足、経験年数の浅さにより会社からの評価が低い
単純にエンジニア本人のスキルが足りていないか、経験年数が浅いことにより、
まだ十分に所属会社に評価されておらず、給料が上がっていないケースです。
本人が継続的に努力してスキルを向上させ、経験年数も長くなっていけば
自然と給料も上がっていきそうですが、実際はそう単純ではありません。
まず、エンジニアとしてのスキルを向上させていくには、
実務の中で様々な業務を経験していく必要があります。
独学でも知識や技術の習得はできますが、
それがそのまま実務で通用するかどうかは別の話ですので、
実務の中でスキルを身に着けていくことが重要となります。
日々業務を行う現場でそのような実務経験を積むことができれば良いのですが、
外部のエンジニアを受け入れる現場の中には、
単に社員エンジニアの手間を省くための雑務を行う人手を安く多く求めていたり、
運用保守やドキュメント作成などといった「誰でもできる作業」を
外部からのエンジニアに割り当てたりしていることもあります。
つまり、そのような現場で長く勤めたからと言って特段のスキルが身につくわけではなく、
かえっていたずらに年齢を重ねることで、むしろ年齢の割にスキルのないエンジニアとして
市場価値が低下していく恐れすらあります。
単純に長く現場を続けていればスキルや経験年数が上がっていくと考えるのではなく、
自分の市場価値が高まるようなスキルを実務の中で身につけられるような業務を
率先して行ったり、そのような案件を見つけて新しい環境に飛び込んでいくことも必要になります。
2.エンジニア本人の営業力が高くなく、低い給料のままになっている
エンジニア自身のスキルや経験年数はある程度あるにもかかわらず、
給料が低いままとなっているケースです。
毎日の業務やスキルアップが忙しいために、
自らの営業スキルの向上がおろそかになっていることもあるかと思います。
ただ、エンジニアの本分は業務の中で
自分の知識やスキルを活かすことですので、
これはある意味当然のこととも言えます。
会社に給料アップの要求をするだけでは
単に「使いづらいヤツ」とのレッテルを貼られて
会社内での立場にも影響しかねませんし、
また、給料増額のためにより高い技術レベルが求められる
別の現場へ無理に移動させられるかもしれません。
ですので、今の会社での給料増額の要求が通らなそうであれば、
専門の知識と技術を持ったエージェントに協力してもらうことも
視野に入れて、転職やフリーランスエンジニアへの転向を
考えていくことも有効です。
3.所属しているSES会社にピンハネされている
所属会社への発注単価はそこそこの値段なのに、
会社の利益のためにエンジニア本人の給料が低く抑えられているケースです。
会社は当然利潤追求が目的ですので、
従業員への配分を少なくして利益を確保するのは当然といえば当然です。
ただ、これは会社がエンジニアから不当に搾取しているから
給料が低くなっていると言いたいわけではなく、
会社側でも従業員の採用コストや各種社会保険料の支払など
従業員を維持していくにも様々なコストが発生していることを認識する必要があります。
そのコストとは以下のようなものが考えられます。
①求人広告費
②入社時研修費用
③通勤交通費
④社会保険料
⑤賞与
⑥退職金
⑦有給休暇
⑧その他福利厚生
②の研修中は当然実際の業務を行ってませんので、
会社としては収入はなく単なる持ち出しとなるため、
その分の給料は将来の給料から前借りする(将来の給料を少なくする)か、
売上を上げている他のエンジニアの取り分を一部削ることになります。
④の社会保険料に関しては、一見盲点となるのが
本人負担分の他に会社負担分が存在していることであり、
その会社負担分は基本的に本人が上げた売上から引かれるため、
その分給料が少なくなります。
(会社負担分は会社の利益から支払われるべきと思われるかもしれませんが、
常駐先へエンジニアを派遣して利益を上げるようなビジネスモデルでは
エンジニア自身の売上から利益が捻出されるため、
結局のところエンジニア自身が負担することに変わりありません。)
⑤の賞与や⑦の有給休暇分の給料は当然エンジニアが毎月上げている売上から
捻出する必要があります。
また、そのようなコストの他に会社は以下のようなリスクも抱えています。
A.社内待機・自宅待機リスク
B.エンジニアの退職リスク
C.市況悪化により案件が減少するリスク
Aの「社内待機・自宅待機リスク」は主に正社員エンジニアが
案件を獲得できなかった期間も給料の6割程度を保証するというものです。
その原資もエンジニア自身や他のエンジニアの売上となります。
Bの「エンジニアの退職リスク」は
エンジニアが十分な利益を上げる前に退職してしまうリスクです。
(例えば研修中にエンジニアに辞められたら
売上は全く発生していないので、会社にとっては大損害ですね。)
Cの「市況悪化により案件が減少するリスク」は景気減速によって
エンジニア需要減により案件そのものが減少して、売上も減ってしまうというリスクです。
特に正社員は簡単に首にできないため、会社側は少ない売上から
エンジニアや他の従業員の給料を捻出する必要があります。
このように、会社組織や様々なコストやリスクを抱えているため、
そう簡単にはエンジニアの給料は上げられないのが現状です。
4.商流(多重下請け構造)の問題
商流というのは「受注・発注などの取引関係の流れ」のことですが、
IT業界ではこの商流が多重請負構造となっていることが多いです。
「多重下請け構造」とはその名の通り、数多くの会社が1つの案件に対して
何段にも業務委託契約を結んでいる状態であり、
契約を重ねるごとに中抜き(ピンハネ)が行われるため、
下流に行けば行くほど発注単価が低くなっていきます。
一般的に仲介会社のピンハネ率は10~30%といわれています。
そのように商流が深くなって低くなった発注単価では、
エンジニアが所属している会社がいくら善意的でも
エンジニアの給料を上げることは難しくなってしまいます。
それでは所属会社がより現場や直請けの近いところで
案件を受注できるようにすればよいのではないかという意見もあるかもしれませんが、
それも非常に難しいです。
というのも、大人数のエンジニアを必要とする大企業と直接契約しているSIerやSES会社は
創業数十年という企業が比較的多く、発注元もそれまでと同じ企業に発注したり、
自分たちの利益を守るために契約によってなるべく他のSES企業に発注させないように
したりすることも考えられます。
また、発注元の企業側もエンジニアを派遣してくれているSES会社が
それまで通りエンジニアを派遣してくれなくなることを恐れて
発注先を変えないこともあり得ます。
以前私が体験したケースですと、一次請け、二次請けの会社のエンジニアが退職したため、
三次請けの当時私が所属していたSES会社が発注元と直接契約する機会があり、
私としては所属している会社が商流を省略できるチャンスと思っていたのですが、
私がその現場を離れた後に同じ会社から人員補充するという話はありませんでした。
(単にその案件に合う人材がいなかっただけかもしれませんが。)
また、私が個人事業主のフリーランスエンジニアになった後の話で、
たまたま良さそうな案件の商流が深く単価があまり高くなかったので、
一次請けのSES会社と直接業務委託契約を結ぼうと考えて、
その会社のホームページの求人ページを確認した事があったのですが、
個人事業主との契約どころか、関東エリアでは中途採用すらしていない
(求人ページはあるが募集停止していた)ため、
求人サイトを検索してもエンジニア募集の広告はありませんでした。
それらの情報から邪推するに、創業数十年のその一次請けの会社は
新卒エンジニアで埋めきれない案件は単価をピンハネした上で
他のSES会社へ発注すればよいので、あえてお金をかけて求人広告を出して
中途採用する必要すら感じていないと思われます。
一方私が所属していたSES会社は、創業してから長くなく、
商流も上流に食い込めないので、他のSES会社から紹介してもらった
単価をピンハネされた案件を、高い求人広告を打って集めたエンジニアに
割り当ててなんとか利益を出している状態でした。
すべてのSES会社がこのような状況かどうかは定かではありませんが、
業界全体がこのような利益構造となっているとすると、
末端のエンジニアの給料が上がりにくいのは想像に難くありません。
5.そもそも発注元の発注額が少なすぎる
所属会社が抱えているコストやリスク、業界の多重請負構造によって
エンジニアの給料が低く抑えられているという話をしてきましたが、
仮に商流が浅く、所属しているSES会社から正当な給料を受けられたとしても、
発注元が発注額が少なければ、やはり給料は少なくならざるを得ません。
一般に、プログラマーよりもSE、改修案件や運用保守よりも
新規開発案件の方が高単価となっており、
自分の担当している案件がそのような案件でなかったり、
そもそも十分な発注単価を設定できるほど経営体力のある会社でなければ
発注額は低くなり、給料が低くなるのは当然といえます。
そもそも、SES会社に所属しているエンジニアの中には
会社に紹介されるがままに案件を選んでいたり、
自分の進みたいキャリアに沿ったスキルを身につけられる案件や
高単価の案件を意識的に選んではいない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
会社は当然利益を上げやすかったり、契約を取りやすい案件を薦めてきますので、
希望は考慮してくれると言っても必ずしもエンジニア目線で
案件を選んでくれているわけではないことに留意する必要があります。
エンジニアの給料を上げる方法
ここまで、エンジニアの給料が低い理由について説明してきましたが、
給料を上げる上で最も良い方法は現在所属しているSES会社に
なんとか給料を上げてもらうことです。
ただ、上記のように給料が上がらない理由がIT業界の構造に起因するものだとすると
現在の会社に所属したまま給料が上がるのをただ期待するだけでは十分とはいえないでしょう。
今の会社に満足していて給料もさほど上がらなくても
構わないのであれば特に問題ないのですが、
この先のAIやロボットが本格的に実用化されていく社会的、経済的な変動に対応しつつ
給料を上げていきたい場合は、早いうちに積極的に行動していく必要があります。
それでは具体的にどのような行動を取れば
給料を上げることができるのでしょうか?
その方法はすでに述べたエンジニアの給料が低い理由1~5を解消するような
契約条件の変更または案件選びをすることです。
つまり、
- 経験年数を積んでスキルを向上させつつ、会社に給料増額の要求をしてみる
- 会社の紹介する案件をただ受けるのではなく、より好条件の案件を探してみる
- より好条件の案件情報を得るために、商流の浅い会社を紹介してくれる転職エージェントやフリーランス案件を紹介してくれるエージェントに登録する
- 現在のスキルでもある程度評価してくれる会社に転職するかフリーランスエンジニアに転向する
- 専門の知識と技術を持ったプロである転職エージェントやフリーランスエージェントに単価交渉してもらう
が良いかと思います。
最後に
いかがだったでしょうか?
エンジニアの給料が低いのは当人のスキルや経験年数不足によるものと考えがちですが、
会社や業界の利益構造が大きく関わっていることをご理解いただけたでしょうか?
今の会社に所属したまま給料アップを勝ち取れることが理想だと思いますが、
どうしてもうまく行かないときは環境を変えてみたり、
プロのエージェントに頼った方がうまくいくこともあるでしょう。
当ブログでは、IT・Web転職の転職エージェントとしてレバテックキャリア、
フリーランス向け案件紹介エージェントとして私も利用している
レバテックフリーランスをオススメしています。
私は転職を経ずに実際にレバテックフリーランスを利用して
大幅な単価アップを実現させていますし、
以前所属していたSES会社を辞めたことを
後悔することは特にありませんでした。
これらのエージェントに登録したとしても
必ず転職などをする必要はありませんし、
エージェントと話をすることで案件選びや今後のキャリアにとって
役立つ情報が得られるかもしれませんので、
ご気軽にご相談されてみてはいかがでしょうか。
この記事が、低い給料に悩むエンジニアの一助になれれば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。