エンジニア未経験でSES会社に転職したけど、
開発案件がなかなか決まらないということはありませんか?
「書類審査で落とされて、面談まで進めない…」
「面談までは行くけど、そこで落ちてしまう…」
「現場に入っても、契約終了後にまた待機となってしまう…」
と悩む方もいるかと思います。
IT業界では、非常に人手不足にもかからわず、
常駐先で未経験者を教育する余裕がないなどの理由で、
実務未経験エンジニアも参画可能な案件が少なく、
案件が決まらないということはよくあります。
また、運良く実務経験がないエンジニアが現場に入れたとしても、
雑用や単純作業ばかりの案件だった場合は開発のスキルが身につかず、
その案件終了後に別のよい案件が見つからないために、再度待機となってしまうこともあります。
このようなことにならないようにするには、
事前に開発で必要になる基本的な知識や技術を身につけておくことはもちろんですが、
未経験なりの戦略を持ってスキルシート(職務経歴書)を書いたり、
面接にのぞむことが重要です。
この記事では、そんな未経験エンジニアが案件を獲得して常駐先を決めやすくするコツと、
現場に入った後の心構えや取るべき行動について解説します。
この記事の目次
SES会社で常駐案件が決まらない?【未経験者が案件を獲得するコツ】
未経験エンジニアが実務経験を積むには、
1.開発未経験者を実務の中で教育してくれる現場
2.外部の開発経験の少ないエンジニアでも開発させてくれる現場
3.将来的に開発業務に関わらせてくれる現場
のいずれかに入る必要があります。
1に関しては、見込みのある新卒者などを受け入れている自社開発企業などが該当しますが、
そのような教育にリソースを割ける会社は多くない上、
- 若い(新卒か第二新卒など)
- 高学歴
- 正社員
- すでにプログラミング経験が豊富
など、会社側が教育に資金を投じても元が取れると判断される人が対象です。
ちなみに、SES会社でも研修などで教育を行っていますが、
実際の業務を行うには業界ごとの業務知識なども必要になりますので、
実務に必要な水準に達するのは難しいのが現状です。
2に関しては、開発人員が足りていないので、ある程度の知識や技術、
適性がありそうな人であれば、開発メンバーとして受け入れてくれる現場を指します。
3に関しては、開発業務を行うほどのスキルはまだないエンジニアであっても、
テスト人員が足りていないのでテストをさせつつ、慣れてきて開発もできそうであれば、
開発もさせてもらえる可能性がある現場です。
SES会社所属の未経験エンジニアとしては、2か3を狙う必要があります。
他には、雑用や単純作業をさせる案件もありますが、
そのような現場は開発の実務経験が積めないため、
開発の実務経験はゼロのままとなってしまい、
案件終了後はまた待機となりかねませんので、
そのような案件は選んではいけません。
SES会社の未経験エンジニアが2や3のような現場の案件を獲得するには、
スキルシートや面談の中で、自身のエンジニアとしてのポテンシャルを
しっかりとアピールすることが重要です。
また、SESの案件はタイミングなど運要素も大きくなりますので、
すぐに案件が決まらなかったからといって、自信を失ったり、
自分はエンジニアに向いていないなどと考えるのではなく、
独学などで着実にスキルアップしつつ、何度も案件に応募していく姿勢が必要です。
未経験エンジニアが案件を獲得しやすくするコツとしては、
- ポートフォリオをつくる
- IT系の資格を取る
- 案件の多い言語を狙う
- 開発にシフトできそうなテスト案件を狙う
- 面談の練習をする
などが挙げられます。
いくら言葉だけで自分のエンジニアとしてのポテンシャルを
アピールしても相手には信用されませんので、
目に見える形と行動で自分の熱意や意欲、やる気を示していくことが重要です。
また、それでも開発案件が決まらないのであれば、案件の多い言語に切り替えたり、
いきなり開発案件ではなくテスト案件に申し込むなど、
実務経験を積むことを優先する方法もあります。
さらに、面談までは行けてもそこで落とされてしまう場合は、
面談時の応対で問題がある可能性もありますので、
面談の練習をするなど対策を講じることも必要です。
以下で、1つずつ詳しく解説していきます。
1.ポートフォリオをつくる
自分で何らかのプログラムを作成してそのコードをGitHubで公開することで、
自分の意欲や努力をアピールすることができます。
それが、Webアプリだったら
- ログイン機能
- CRUD機能(データの取得、登録、更新、削除)
- いくつかの画面やWebAPI
などを用意しておき、実装機能、使用ライブラリ、
そのWebアプリのリンクなどもGithub上に詳しく記載しておきます。
もし時間に余裕があれば、その他の機能を追加したり、
デザインを改良したりして、完成度を上げていきます。
オススメなのはWebアプリを実行するクラウド環境として、
AWS(Amazon Web Services)を使用することです。
プログラミング言語の学習やポートフォリオの作成の他に、
AWSの使い方まで覚えるとなると大変そうと感じるかもしれません。
AWSはサービスが多く、それぞれの役割をIT知識に乏しいエンジニアが
きちんと理解するのは難しいかもしれませんが、
単にEC2(Amazon Elastic Compute Cloud)のインスタンスを作成して、
仮想サーバーを用意するのは誰でもできます。
しかも、EC2のインスタンスの種類などにもよりますが、
EC2を含むいくつかのサービスはクレジットカードを登録すれば1年間無料(※)で使えます。
※無料といっても、使用するサービスによっては課金されますので、
無料の対象となるサービスと課金額の確認はしっかりしておきましょう。
AWSのような実際の開発現場でも多く使用されているサービスを使いながら
ポートフォリオを作成することによって、意欲をアピールしながら、
実務でも使われるスキルを身につけることができます。
このように手間を掛けてポートフォリオを作成しても、
採用担当者は忙しくてそのコードや実際のアプリまでは確認しないことがよくあります。
面談に参加する担当者は現場の開発リーダーだったりするのですが、
当日急に「今日の○○時から面談だから」と言われて面談に参加している場合があり、
事前にポートフォリオどころかスキルシートすら読んでおらず、
面談時に確認しているケースもあります。
また、大してスキルもないエンジニアのコードやアプリまで
確認するメリットがないと思われていることもあるかもしれません。
実際、ある程度実務経験のあるエンジニアのポートフォリオとは違い、
未経験エンジニアのポートフォリオは技術力をアピールするという面では
訴求力が弱いということもあります。
このように聞くと、わざわざ時間と手間をかけてまで
ポートフォリオを作成する意味はないのではと思われるかもしれません。
ですが、事前にポートフォリオを作成することで、面談時の話のネタになったり、
そのようなポートフォリオを作成していない他のエンジニアと差別化して、
より意欲や熱意をアピールできることは間違いありません。
ですので、採用担当者が忙しくて自分のポートフォリオの
コードやアプリを確認してくれないことも見越して、
スキルシートに作成したポートフォリオの実装機能、使用したライブラリや
ツール(GitやGitHubなど)も詳しく記載しておきましょう。
こうすることで、空白が多く寂しくなりがちな未経験エンジニアのスキルシートを埋めることができ、
ポートフォリオを作成したことに気づいた採用担当者が話を振ってくれたり、
その意欲や熱意を評価してくれる可能性を上げることができます。
2.IT系の資格を取る
未経験エンジニアの意欲ややる気をアピールする方法として、
IT系の資格を取ることが有効な場合もあります。
これが実務経験者であれば、実務経験の方がはるかに評価されますので、
あえて資格を取得する必要がないこともあるのですが、
未経験エンジニアは実務経験をアピールできないので、
資格取得で最低限の知識があることやその努力をアピールできる場合があります。
IT系の資格には大きく分けて、
- 国家資格
- 民間資格(NPO資格やベンダー資格)
の2種類があります。
IT系の国家資格には
- ITパスポート
- 基本情報技術者
- 応用情報技術者
- 専門分野ごとの高度資格
があります。
ITパスポートは随時受けられますが、IT利用者がITを活用する知識を問うもので
エンジニア向けではないので、取得するメリットはほとんどありません。
その他の資格は試験実施日が年1~2回のため、
常駐案件を獲得して実務経験を積みたい未経験エンジニアにとっては、
以前からそれらの資格取得のために準備していた場合を除いては、
日程が合わなかったり、資格取得のための学習時間が掛かり過ぎる場合もありますので、
あまり現実的とはいえません。
オススメの民間資格としては、
- LinuC(Linux技術者認定資格)レベル1
- Oracle Master Bronze
- Oracle Certified Java Programmer, Silver SE 認定資格
などが挙げられます。
他の言語のWebアプリ開発やスマホアプリ開発を希望される場合は、
それらの言語や関連技術の資格のうち、まずはレベルの低いものが対象になろうかと思います。
ただ、特に開発言語やプラットフォームなどにこだわりがない方はまずは上記の資格を取得することで、
実務経験がなくても最低限の知識や技術と持っていると評価されたり、
実際の業務でもよりスムーズに開発を行える可能性が高くなります。
LinuCレベル1を取得すれば、Linuxの基本的な知識や操作方法などを事前に身につけることができ、
これに加えて自分で調べたり、自社の先輩エンジニアに教えてもらいながらであれば、
比較的早くインフラに関する業務を行うことができるようになります。
Oracle Master Bronzeに関しては、Oracleと呼ばれる
RDBMS(関係データベース管理システム)向けの資格ですが、
RDBMSでデータの操作や定義に使われるSQLというデータベース言語(問い合わせ言語)は、
MySQLなど他のRDBMSでも基本的なところは共通となっておりますので、
Oracle Master Bronzeを取得したからといって、
他のRDBMSではまったく役に立たないというわけではありません。
Java Bronzeは日本国内でのみ有効でオンライン受験もできる言語未経験者向けの入門資格で、
実務者向けではないため、実務で最低限通用するJavaの知識を示したいのであれば、
Java Silverの方を取得することをオススメします。
このように、広範で概念的な知識が問われることも多い国家資格よりも、
実際に使われている技術の知識を問うベンダー資格などの民間資格の方がより実践的で、
現場でも円滑に業務を進めることが可能になります。
ただ、これらの民間資格の受験料はそこそこ高額であり、学習時間もある程度かかるため、
ポートフォリオを作成するのか、資格を取得するのかの優先順位をはっきりさせた上で取り組まないと、
結局どれも中途半端に終ってしまったということにもなりかねませんので、注意が必要です。
3.案件の多い言語を狙う
SES会社で扱われる常駐案件は、どのプログラミング言語でも豊富にあるわけではありません。
もし自分がRubyやPHP、Pythonなどのスクリプト言語で開発をしていきたいと思っても、
その言語を使用している常駐案件そのものを自分の所属するSES会社が扱っていなければ、
その言語での実務経験を積んでいくことができません。
一般的に開発案件でエンジニアの募集がかかるのは、
新規開発プロジェクトを進めるためのエンジニアが必要になった場合や、
既存プロジェクトの改修や機能追加などを行うエンジニアが抜けたため
補充が必要になった場合などです。
RubyやPHPなどのスクリプト言語は比較的小規模から中規模程度のWeb開発で用いられることが多く、
新規プロジェクトや既存プロジェクトで必要なエンジニア数は少なくすむ傾向があります。
一方、Javaは中規模から超大規模案件で使用されるため、
新規プロジェクトが立ち上がると、大量のエンジニアが必要になることがあります。
また、既存のプロジェクトの参加人数も多いため、
エンジニアを補充する需要も大きくなります。
このように言語の特性により必要なエンジニアの数も変わってくるため、
その点を考慮せずにエンジニア需要の少ない言語で勝負しようとしても、
案件そのものが少ないばかりに、いつまでも案件が決まらないということになりかねません。
たまにそのような案件にめぐり合うこともありますが、
非常に運要素が大きく再現性が高いとはいえません。
このため、実務経験を積んで自分の市場価値を上げなければ案件もまともに選べない
未経験エンジニアから早急に脱するには、言語のこだわりを捨てて、エンジニア需要が多く、
案件も豊富なJava案件を探されることをオススメします。
仮に最初の案件でJavaを使用していたからといって、
他の言語を使う現場に入れなくなるということでは決してありません。
もちろん最初に希望していた言語の実務経験としてはゼロのままですが、
他の言語の実務経験でも実務未経験よりかははるかに評価されますので、
一旦はJavaなど需要が大きい言語で実務経験を積み、
ある程度経験を積んだ後に希望する言語を扱う現場に変えてもらったり、
その言語を使用する自社開発会社に転職する方がスムーズだったりします。
ですので、どうしても案件が決まらないのであれば、
最初はあまり言語へのこだわりを持たずに、
案件の多いJavaから習得して、案件を探してみるのがよいでしょう。
4.開発にシフトできそうなテスト案件を狙う
ポートフォリオ作成、資格取得、案件の多そうな言語への
切り替えなどをしても開発案件が決まらない場合、
あるいはそれらを行う時間的な余裕がなく、
スキルが十分でなくてもすぐに案件を獲得したい場合は、
一旦開発案件ではなく、テスト案件を探してみるのが有効なことがあります。
もちろん、最初から開発に関われる案件を獲得する方がよいのですが、
所属するSES会社で扱う案件がテスト案件ばかりということもあるかと思います。
可能ならば、そんなテスト案件ばかり扱うSES会社からは転職した方がもっと良いのですが、
IT業界について何も知らないままそのような会社に入社してしまって
すぐには転職できないこともあるでしょう。
その場合は、一旦テスターとして現場に入り、開発エンジニアへの昇格を狙うのが現実的です。
その際、面談などでテスターとして作業に慣れてきたら
開発業務もさせてもらえそうか事前に確認しておきましょう。
そして、現場に入ったらテスト業務でもしっかりこなし、
現場の信頼を勝ちとっていくことが重要となります。
現場でテスト業務をこなしながら、可能であれば実際のコードも見せてもらって勉強し、
業務時間外はポートフォリオの作成、資格の取得をしてスキルアップしていくことで、
開発メンバーへと昇格させてもらう可能性を上げることができます。
もし、そのようにスキルアップの努力をしても一向に開発メンバーになれそうもない場合は、
仕方ないので開発エンジニアとして実務経験を積める他の現場に変えてもらうか転職するしかありません。
また、テスト案件ですらなく、雑用や単純作業を行うだけの案件は、
エンジニアとしてスキルアップしていけるものではありませんので、
そのような案件はうまく避けることが必要です。
5.面談の練習をする
エンジニアのスキルや能力は、事前にスキルシートで確認されます。
そのため、明らかにスキル不足の場合は面談までこぎつくことは基本的にはありません。
場合によっては、会社間の付き合いでしぶしぶ面談をしているケースもあるかもしれませんが、
面談までこぎつけているということは最低限のスキルは持っていると判断されているか、
能力が足りなかったとしても本人に伸びしろがあれば採用しても良いと思われている
ということになります。
というのも、会社間の付き合いなど特殊な事情がない限り、
まったく見込みのないエンジニアに会う余裕はないはずだからです。
もし、スキルシートで不明瞭な点やもっと詳しく知りたいことがあれば、
営業に電話で確認すれば済むわけです。
その上で、面談ではエンジニア本人は真面目に業務を行ってくれるのか、
チームとしてうまくコミュニケーションをとっていけるのか、
業務に対するやる気や意欲は十分かなどの人間としての部分が見られています。
もちろん、スキルシートをしっかり確認しておらず、
やっぱりスキルが足りないから無理と言われることもあるかと思いますが、
事前に確認すれば済むのにそのような確認すらしていないような
非合理的な担当者がいる現場はむしろ避けるべきかと思います。
そのような場合でないのに面談に落ちてしまうということは、
本人の意欲や熱意、コミュニケーションなどの部分で難があると見られている可能性があります。
もし、ポートフォリオが作成中だったり、
勉強中で資格がまだ取得できていなかったとしても、
その旨を伝えるなどしてやる気をアピールすることができます。
また、面談でポートフォリオを見せようと考えているのであれば、
面談は時間が限られているため、あらかじめノートPCやタブレット端末、スマホなどの実機で
すぐにポートフォリオを見せられる状態にしておいて、
ポートフォリオを見てもらえるか担当者に確認し、
見てもらえるようであればさっと確認してもらうなどという
段取りを事前に考えて準備しておくことも必要です。
コミュニケーションの部分でうまくいかないと考えているのであれば、
事前に話す内容を考えておいたり、質問を想定して回答を用意しておいたり、
営業に面談の練習に付き合ってもらうなど対策を立てることができます。
どうしても面談で緊張してしまうという場合は、面談の数をこなしたり、
案件はそれだけではないので落ちても構わないという気持ちで
練習のつもりで完璧を期さずに面談をしてみると、かえってうまくいくかもしれません。
最後に
いかがだったでしょうか?
未経験エンジニアが面談までこぎつけない、面談で落ちてしまうのには理由があり、
対策を立てることで案件を獲得できる可能性を高められることがお分かりいただけたと思います。
もし、上記のような対策が功を奏して案件を獲得できたとしても、
現場でうまくスキルアップしていかないと、
その案件が終了した後にまだ十分な実務経験を積んでいるとみなされずに、
また案件が決まらないという事態になりかねません。
ですので、最初任されるタスクがテストや簡単な改修作業だったとしても、
それらをしっかりこなして現場の信用を勝ち取り、よりスキルの身につく
タスクをさせてもらえるようにならなければなりません。
そのように自分の能力を向上させていくことによって、
次第にある程度実務経験を積んでスキルが身につけていると見なされるようになり、
それまで実務未経験というだけで落とされてきた案件も獲得しやすくなっていきます。
ですので、未経験エンジニアは案件が決まったからといって気を緩めるのではなく、
そこからがスタートラインだという気持ちで業務に取り組んでいくようにしましょう。