自由で柔軟な働き方ができるフリーランスに憧れて、フリーランスになったという人は多いのではないでしょうか?
フリーランスエンジニアの中には高い報酬を獲得していたり、リモートワークなどで働く時間と場所を自由に選べる働き方を実現しています。
ただ、クラウドソーシングやフリーランスエージェントを利用しても、なかなか案件が決まらなくて困ってしまうこともあります。
案件を獲得できないと、自由な働き方どころか収入が途絶えて生活ができなくなってしまいますよね。
中には、
「案件獲得の仕方がわからない」
「どんな案件を選んでよいのかわからない…」
「クラウドソーシングで提案をしても全く反応がない」
「単発なら案件が決まるが、継続して案件を獲得できない」
「フリーランスエージェントでは、案件を紹介してもらえなかった」
と悩んでいるフリーランスもいるかもしれません。
そんな時に闇雲に営業しても、ほとんど効果がなくますます焦ってしまいます。
大抵のフリーランスは案件を獲得できないか、案件を獲得してもうまくいかず、継続して案件を獲得できません。
また、フリーランスとして生計を立てていくには、営業や実務、スキルアップのための学習など多くの作業が必要になります。
この記事では、
- フリーランス案件が決まらない理由
- フリーランスが案件を獲得する方法
- 案件獲得の可能性を上げるコツ
- フリーランスとしてのキャリアパスを描くことの重要性
について解説しています。
この記事の目次
フリーランス案件が決まらない8つの理由とは?
案件が決まらない理由としては、
- 案件選びに失敗している
- スキルが不足している
- 経験が不足している
- 実績や評価が不足している
- 実務経験が不足している
- 営業や提案の数が不足している
- 営業力、提案力、交渉力が不足している
- 案件の希望条件が多すぎる
などが挙げられます。
以下で、一つずつ解説していきます。
1.案件選びに失敗している
案件によって、単価、期間、難易度、必要とされるスキルや経験などが異なります。
特にフリーランスになりたてのエンジニアは、どの案件が自分に合っていて、どの案件なら自分のスキルレベルでも獲得しやすいかということを把握できていないことがあります。
そのため、ある程度の技術や実績が要求される案件にも応募や提案を行ってしまい、企業側から相手にしてもらえず、案件が決まらないのです。
案件が取れなからといって様々な案件に手を出すのではなく、需要の多寡、難易度、単価などを見極めて、案件を絞る必要があります。
例えば、WordPressによるWebサイト関連案件であれば、コーポレートサイトやキャンペーンサイトなどの新規作成だけでなく、サイトリニューアル、サイトの修理、復元など、比較的継続して案件が発生します。
昨今Web上での営業やマーケティングの重要性がますます高まっていますが、現在自社サイトを持っていない中小企業もまだまだ多く、それらも潜在的な顧客となります。
また、アフィリエイターもWebサイト作成を依頼していることがありますので、需要は比較的大きいといえます。
最初から企業サイトはハードルが高いと感じるのであれば、より難易度の低いアフィリエイトサイトの作成やリニューアルなどの案件を狙ってみるというのも一つの手です。
WordPressによるWebサイト作成は、単価も安すぎない割には技術的な難易度もそこそこ低く、経験の少ないフリーランスエンジニアでもこなしやすいので、実績があまりなくても案件を任せてもらえる可能性が上がります。
ですので、まずはそれに特化してスキルを上げていくことで、案件を獲得しやすくなります。
2.スキルが不足している
いくら個人でも請け負いやすい案件だったとしても、スキルが不足していれば正確な工数の見積もりや提案ができず、案件を獲得するのは難しくなってしまいます。
現在エンジニアの供給が慢性的に不足していますが、それはある程度のスキルと経験があるエンジニアで、スキルの低いフリーランスエンジニアの需要はほとんどないのが現状です。
発注者はエンジニアの育成が目的ではなく、案件をこなしてもらうことが目的なので、例え難易度の低い案件であっても自分で問題を解決して納品することが求められます。
このため、案件を獲得する前にまずは一定レベルのスキルを身につけておく必要があります。
安価にプログラミングの学習をしてスキルアップしたい場合には、ProgateやUdemyで学習するという方法があります。
また、現役エンジニアに学習のサポートをしてもらってWordPressによる企業サイト作成などの実践的なスキルを習得したい場合は、TechAcademyの「WordPressコース」や「Webデザイン+WordPressセット」で学習するという方法があります。
これらの学習コストは経費とすることで、税金の負担を軽減できます。
WordPressによるWebサイト作成やリニューアルでは、報酬額が5~30万円ほどとなっているので、スクール代も何回か案件をこなすことで回収できるでしょう。
スキルはそのまま残り、それ以降の案件の経費や税金を除いた報酬はすべて自分の利益となりますので、まずは自己投資をすることで他のフリーランスとの差別化を図ることができます。
また、Webサイト作成の場合は、SEOなどの知識や技術も身につけて掛け合わせることによって、フリーランスとしての希少性が増し、発注者に提案を受け入れてもらいやすくなります。
3.経験が不足している
案件受注の経験が少ないと、効果的な見積もり、提案の仕方がわからないために、企業側が発注したくなるような提案ができずに、案件が決まらないということがあります。
その場合は、クライアントが何を求めているのか、どうしたらクライアントが喜ぶのかなどを自分なりに考えて、提案を試行錯誤することで仮説を検証し、改善していくことが必要です。
もし、案件が決まらなくても、クライアント側から何らかのフィードバックがあれば、それも提案の改善に活かすことができます。
例えば、Webサイト作成といっても、クライアントが求めているものはそれぞれ異なります。
人によっては安く早くサイトを作成してもらいたいだけかもしれませんし、企業イメージアップのためにデザインの凝ったサイトを望んでいるかもしれません。
場合によっては、SEOを意識して検索によるアクセスを増やしたいと考えていることもあります。
案件情報ページでクライアント側の要件が記載されていますが、クライアント側もすべての要件を明文化できている訳ではないので、試行錯誤を繰り返して顧客のニーズを把握して提案する経験を積んでいく必要があります。
4.実績や評価が不足している
案件をこなした実績が少なかったり評価が低いと、いくら良い提案を行ってもスルーされることがあります。
クラウドソーシングサイトでは、過去の実績や評価が可視化される仕組みになっているため、それらによるフリーランスの選別が行いやすくなっています。
フリーランスの中には案件を途中で投げ出す人もおり、そのようなフリーランスに当たってしまうと企業側のスケジュールが狂ってしまうため、そのようなフリーランスを避けるために一定程度の実績と評価のあるフリーランスを選んで発注していることがあります。
フリーランスからの提案数が多いとすべての見積もりや提案を確認するのが時間が掛かったり、難しかったりするので、実績や評価を脚切りの基準に使っている場合もあります。
また、ある程度の実績があると発注者とのやり取りの経験も多いので、発注者はスムーズに取引を行えることが期待でき、安心して案件を任せることができます。
発注者が価格の安さよりも取引の円滑さや成果物の品質などを優先している場合、それに見合う提案ができてそのような実績と評価のあるフリーランスは、単価を上げてもらいやすいでしょう。
実績が積み上がることによって、単価が上がる仕組みになっているクラウドソーシングサイトもあり、実績や評価がフリーランスを判断する重要な指標になっているのは紛れもない事実です。
このため、まだ実績が少なく評価が高くないフリーランスは、まずは受注しやすく簡単な案件の提案を行ったり、単価などの条件面を譲歩してでも案件を獲得する必要があります。
そして、納期よりも早く作業を終わらせる、クライアントの要求水準を上回る完成度で成果物を仕上げる、操作などの手順書やマニュアルを用意する、納品後のサポートも率先して行うなど、クライアントの期待を上回る仕事を行うことで、顧客満足度が上がり、高評価を得やすくなり、他のフリーランスと差別化できます。
このように、クライアントが求めているものを正確に把握してそれを実現し、それを上回る品質や価値を提供することが重要となるでしょう。
まだスキルレベルが高くない駆け出しのフリーランスであっても、難易度の低い案件であればこのようなことはそれほど難しくはありません。
ですので、まずは報酬にこだわらず、実績を積んで評価を上げていくことに注力しましょう。
5.実務経験が不足している
クラウドソーシングで案件が決まらないからといって、フリーランスエージェントに登録しても案件を紹介してもらえないことがあります。
フリーランスエージェントが扱う案件は単発な簡単な案件はなく、大抵は企業に常駐しての長期継続案件が多いため、企業での実務経験が重視されます。
そのような実務経験のあるエンジニアであれば、企業の業務の進め方を熟知しているため、企業側も円滑にプロジェクトを進めやすくなります。
また、フリーランスエンジニア側も、企業との作業の進め方を分かっていた方が仕事がしやすくなります。
このため、企業での実務経験がない状態で、フリーランスエージェントに登録して案件を獲得しようとするのは、よほどスキルレベルが高いか、クラウドソーシングの案件を数多くこなした実績がなければ、無謀といえます。
フリーランスエージェントから案件を紹介してもらいたい場合は、最低でも1年、できれば2年以上企業での実務経験を積む必要があり、そのような経験を積むには、まずはIT系の派遣会社や自社開発企業などに入社してキャリアアップしていく必要があるでしょう。
企業ではチームでの開発が基本で、設計レビューやコードレビューが行われますので、一人でフリーランスとして仕事をしていくよりもスキルアップがしやすく、ある程度のスキルと経験を積むことができれば、フリーランスエージェントから高単価案件など有利な案件を紹介してもらいやすくなります。
クラウドソーシングで仕事をする場合でも、企業との仕事の進め方を知っていた方が発注者に安心感を与えられますし、フリーランス自身の評価も高まります。
ですので、クラウドソーシングで案件が決まらない、継続的に安定して案件を獲得していきたい、高単価を狙いたいという場合は、一旦自社開発企業などに入社して2年ほどの実務経験を積む方が、むしろ近道になるでしょう。
6.営業や提案の数が不足している
営業や提案の数が少ないと、案件が全く決まらないということもあるでしょう。
また、営業先が知り合いや以前の職場だけなどチャネルが少ないと、営業の数をこなすことが難しくなってしまいます。
クラウドソーシングで案件の獲得を目指す場合でも、1つの案件のみの獲得に注力するのではなく、失注する可能性を考慮して複数の案件を並行して検討していくことが必要です。
この際、複数案件を同時に受注してしまうと両方の案件をこなせないこともありますので、案件獲得の可能性を見極めながら複数案件にアプローチしていきましょう。
もし、すでにある程度の実務経験があるのであれば、フリーランスエージェントを利用するのが最も確実です。
中間マージンは取られますが、自分で営業するよりも高単価案件を獲得できる可能性が高く、週2、3日案件やリモート案件など案件の種類も豊富で、自分ひとりではアプローチできないような企業の案件にも応募できます。
このように、プロに営業を任せてしまうことで、エンジニアは技術力向上のための学習に時間を費やせますし、プライベートな時間をしっかりと確保することができます。
7.営業力、提案力、交渉力が不足している
まだまだフリーランスとしての経験が乏しいと、クライアントが何を求めているのかを正確に把握しきれていないことがあります。
そのため、企業側が発注したくなるような効果的な提案を行えずに、案件が決まらないのです。
案件詳細ページに依頼内容が記載されているからといって、それだけをこなすだけでは顧客満足度は上がりませんし、評価も上がりません。
クライアントは、フリーランスに案件を依頼することによって、自社のビジネスを加速させたり、ビジネス上の問題点を解消したいと考えているはずです。
ただ、クライアント自身も何が問題なのか、どうすれば売上が上がるのかを明確化できていないこともあります。
ですので、Webサイト作成の場合はただサイト作成の提案をするだけでなく、事前にクライアントのビジネスについて調査を行い、集客をしたがっているのか、企業イメージのアップを図っているのか、サービスの利便性を向上させたいのかなど、案件を依頼する真の目的やニーズを把握して、それに基づいた提案をする必要があります。
ただ、納期を短くすればよいとか、単価を安くすればよいというわけではないのです。
クライアントの真の目的やニーズに合わせて提案を行っても、自分のスキルでそれを実現できることを証明できなければ、その提案を選んではもらえません。
その提案を実現できることを示すには、今までの実績や評価から判断してもらうのがよいでしょう。
また、そのクライアントの案件と同じようなWebサイトをポートフォリオとして事前に作成しておき、提案時に一緒に提示することで、提案を実現するスキルがあることが証明でき、すでに同じようなWebサイト作成の経験があるからこの案件も問題なくこなしてくれるだろうという安心感を与えることも有効です。
このように、クライアントの真の目的やニーズに応じた提案を行い、実績、評価、ポートフォリオなどでその提案を実現できることを示すことによって、クライアントにその提案を選んでもらいやすくなります。
8.案件の希望条件が多すぎる
フリーランスとしての生活やキャリアが懸かっていますので、単価や納期、案件の種類などにこだわりが出ることもあるでしょう。
ですが、時期や経済状況によって案件の数が少なかったり、競合するフリーランスが実力者揃いだったりすると、希望の案件に決まらないということがよくあります。
このような場合は、一旦案件の希望条件を優先順位付けし、多少妥協して案件を選ぶことで案件が決まりやすくなります。
フリーランスエージェントを利用する場合、紹介される案件はどうしてもフルタイムの常駐案件が多いので、週2、3日案件やリモート案件など希望しても、自分のスキルや経験に合う案件がほとんどないということも珍しくありません。
自分がスキルアップして経験や実績を積んでいき、企業側がそれを認めてくれれば条件面で譲歩してくれることもありますので、案件が決まらないうちは希望条件を絞って提案や応募をしてみるとよいでしょう。
フリーランスが案件を獲得する3つの方法とは?
フリーランスが案件を獲得する方法としては、
- 自分でクライアントを探して直接営業する
- クラウドソーシングなどのマッチングサイトを利用する
- フリーランスエージェントを活用する
などが挙げられます。
以下で、一つずつ解説していきます。
1.自分でクライアントを探して直接営業する
フリーランスが案件を獲得する方法として、自分で直接企業などに営業するやり方があります。
自分で直接企業などから案件を獲得することによって、交渉次第では契約条件を柔軟に決められ、仲介会社による中間マージンも取られません。
自分で直接営業をかけるとなると、まずは電話やメールでの営業を想像する人がいると思います。
例えば、WordPressによるWebサイト作成であれば、まだ自社サイトを持っていない会社に直接サイト作成を提案したり、すでにサイトを持っている会社であってもそのサイトの改善できる箇所があれば、サイトのリニューアルや改善を提案してみるのもよいでしょう。
この方法であれば、他のフリーランスなどはほとんど提案してこないので、自分の提案が採用される可能性が高くなります。
また、SNSやブログなどで案件を募集したり、それらで企業側がエンジニアが募集していれば、それに応募するという方法もあります。SNSにはTwitterやFacebookのような一般の人も使うようなものから、WantedlyのようなビジネスSNSもあります。
ただ、これらで募集されているのは単発の仕事よりもエンジニアの求人が多くなります。
というのも、人材募集はコストがかかるので、SNSを利用することでそのコストを浮かせることができます。
求人広告であれば、週に数万から数十万円、転職エージェントを利用すると転職者の年収の30~35%ほどが掛かりますので、多少手間がかかってもSNSで求人募集するメリットは大きくなります。
ですが、単発の案件をSNSで依頼してもそれほどのコスト削減効果はなく、見積もりや提案、進捗連絡などで煩雑なやり取りが発生するため、単に仕事を依頼したい場合は専門の会社に依頼するか、クラウドソーシングサイトなどを利用するケースがほとんどです。
Wantedlyなどでは正社員や契約社員を募集していることが多いですが、契約条件が自由な案件もありますので、そのような案件であれば業務委託契約にすることもできます。
その他の営業の方法としては、以前務めていた会社や常駐先企業、取引先、知人や友人などのコネを使って営業し、案件を獲得するというものがあります。
この方法であれば、以前の仕事ぶりや人柄が知られているので、信頼感を得やすく、案件を獲得しやすいでしょう。
ただ、案件がいつでもあると限らないため、タイミングが合わなければ案件を受注することができず、案件獲得が不安定になりがちです。別の案件をこなしているタイミングで案件を紹介され、しぶしぶ断らなければならないこともあるでしょう。
他には、セミナーや勉強会、交流会などに参加をして新規の人脈をつくり、営業を行うという方法があります。
交流会などではベンチャー企業やスタートアップ企業のCTOやVPoE(Vice President of Engineering)などの事業責任者や決裁権者が参加していることがあり、その人達とのコネをつくり、交渉することによって案件を獲得できることがあります。
ただ、それらの交流会などに参加する理由は人それぞれで、必ずしも案件を依頼したいわけではないため、その場で案件を獲得できる可能性は低いですが、フリーランスとしての活動を認知してもらい、人脈をつくることで、将来の案件獲得につながることがあります。
このように自分で営業する方法はいろいろありますが、共通しているのはフリーランスとしての活動を認知してもらい、人脈などを通じて仕事がないか打診し、ビジネスチャンスにつなげるということです。
案件を獲得するという目的を達することができれば、上述した方法以外でも営業が行え、他のフリーランスが獲得できない案件を獲得することができます。
自分で直接営業することによるデメリットとしては、営業に掛けた労力の割には案件を獲得につながらないことがあること、条件交渉が面倒であること、案件の事前キャンセルや途中での破断などがあること、経営の安定しない企業からの案件だと報酬がきちんと支払われないこともあることなどが挙げられます。
後でトラブルになっても、仲介会社などがある訳ではなく、誰も助けてくれないことがありますので、その点を注意して営業や交渉を行う必要があります。
2.クラウドソーシングなどのマッチングサイトを利用する
クラウドソーシングサイトを利用すれば、外に出ることなく自宅にいながらでも簡単に仕事を得ることができるため、
- 隙間時間を活用したい
- 満員電車での通勤を避けたい
- 煩わしい人間関係を避けたい
- 副業で小銭を稼ぎたい
- 何らかの事情で会社勤務が難しい
などの理由で利用している人も多いのではないでしょうか?
その手軽さと参入障壁の低さから、フリーランスとしての活動を始める人が増えてきています。
ですが、参入者が多くなることで供給過多となり、企業側もコストを下げるために利用している場合が多いので、単価が下がりやすいのが特徴です。
ライバルが多いために一つの案件で数十の提案があることもよくあり、案件が決まらないことも少なくありません。
そのため、案件の相場を把握してあまりにも安い案件は避ける、ある程度のスキルレベルが要求されるそれなりの単価の案件を狙って競合を減らす、実績を積んで評価を上げることでクライアントに選んでもらいやすくするなど、うまく他のフリーランスと差別化できるように工夫する必要があります。
WordPressによるWebサイト作成のように、一定のスキルレベルが要求されるものの難易度がそれほど高くなく、一定の需要がある案件に特化してスキルアップし、実績や評価を積み上げていくことが、案件を獲得しやすくして単価を上げていくコツです。
また、いくら単発の案件を獲得できるようになっても、継続して案件を獲得できなければ収入を安定させていくことはできません。
そのためには、実績を積み重ねて評価を上げていく以外にも、何がクライアントの満足や信頼につながるかを考えて実践し、他のフリーランスと差別化していく必要があります。
クライアントの要求を上回るような成果を出すことができれば顧客満足度や信頼感が上がり、案件を継続して任せてもらえたり、指名を受けやすくなります。
クラウドソーシングにおける契約は、ほとんどが請負契約で完成責任と瑕疵担保責任があり、あらかじめ決められた基準による検品に合格しなければ報酬を受け取ることができません。
完成させた成果物に不具合があった場合は、無償で修正しなければならないこともあります。
成果物の要件や仕様、検品合格の基準が曖昧のままだと、作業中に仕様変更があったり、仕様追加を要求されたり、成果物のイメージが違ったなどの理由で検品不合格になるなどトラブルが発生することもありますので、事前にきちんと契約書を用意するなどが必要になります。
また、発注者が個人の場合や依頼が初めての担当者の場合、やり取りがスムーズに行えなかったり、認識の違いからトラブルに巻き込まれてしまうこともあるので注意しましょう。
このように、クラウドソーシングは、参入障壁が低いためライバルが多く案件が決まらない、単価が低いことがある、継続して案件を獲得できずに収入が安定しない、検品で合格しないと報酬を得られない、発注者が不慣れだとトラブルになるなどのデメリットがあります。
ただ、案件をこなすことに慣れてくれば、複数の案件を並行して進めることにより、短期的に高収入を上げているフリーランスも一部には存在しています。
3.フリーランスエージェントを活用する
フリーランスエージェントに登録すれば、単発案件ではなく、月額報酬制の安定した継続案件を獲得できます。
多くがフルタイムの客先常駐の案件ですが、中には週2、3日案件やリモート案件を紹介してくれるエージェントや、福利厚生や給与補償制度を用意しているエージェントもあります。
中間マージンを取られますが、その分自分で全く営業をしなくても案件を獲得できるのが魅力です。
エンド直案件を多く扱っていますので、中間マージンを取られるといっても大抵そのエージェントだけで、10~20%程度のマージン率になることが普通ですが、マージン率を開示していたり、低マージンのエージェントもあります。
また、個人では営業できないような大企業などの案件も保有していますので、中間マージンを差し引いたとしても、自分で営業するより高単価になることが珍しくありません。
営業の手間を考えればエージェントに登録して、案件を紹介してもらう方がフリーランス活動がかなり楽になるでしょう。
フリーランスエージェントを活用するもう一つのメリットとしては、エンジニアとしてのキャリアパスを描きやすいということが挙げられます。
クラウドソーシングの案件では単発の案件が多く、生活のために案件を獲得する状況が続いてしまうことがあります。
それほど技術レベルが高くない案件ばかりだとあまりスキルアップできず、一人で作業するのでわからないことや問題が発生しても自分で調べて解決していく必要があり、場合によってはかなりの時間を要することがあります。
チーム開発によるコードレビューのように問題点を指摘されないので、独り善がりのとりあえず動けば良いというコーディングになりがちで、スキルアップしにくいといえます。
なんとか案件をこなしていても、参入障壁が低いので新しいフリーランスもどんどん参入してきますし、実務経験のある実力者とも渡り合っていかないと継続して案件を獲得していくことができません。
このように日々の作業に追われ、スキルアップしにくい環境では、エンジニアとしてキャリアアップしていくことは困難です。
一方、フリーランスエージェントの案件では、企業に常駐してチームで開発を進めていく案件が多いので、わからないところや問題もお互いにフォローしながら解決することができます。
また、コードレビューで自分のコーディングの問題点を指摘してもらえるので、プログラミングのスキルも向上しやすいです。
安定した長期案件が多いので、日々の業務を行いながらエンジニアとしてのキャリアについてじっくり考え、そのキャリアを実現するための学習などに多くの時間を割くことができます。
他のメリットとしては、案件を終了する際や何か問題があった際にエージェントが間に立って対応してくれたり、単価などの条件交渉の際にエージェントのプロが交渉する方が条件がまとまりやすくなることも挙げられます。
このようなメリットの多いフリーランスエージェントですが、デメリットとしては案件を獲得するのに実務経験が要求されることが多いということです。
フリーランスエージェントの案件は、エンジニアが足りていない企業に常駐して業務を行うものが多く、リモートワークであっても場所が自由なだけで、企業で働くのと同様に業務を進めていくことが要求されます。
このため、クラウドソーシングで案件が決まらないからといって、フリーランスエージェント経由で案件を探そうとしても、案件を紹介してくれないことがほとんどです。
クラウドソーシングである程度の実績を積めば、それを評価してくれる企業も中にはありますが、まったく実績がない状態でエージェントに登録しても案件は見つかりませんので注意しましょう。
すでにある程度の実務経験があり、フリーランスエージェントを利用してみたいという人向けに、目的別にフリーランスエージェントを選ぶ方法について解説していますので、ご興味がある方は参考にしてみてください。
参考記事:フリーランスエンジニア向けエージェント比較【目的別に使い分ける】
フリーランスが案件を獲得する可能性を上げる5つの方法とは?
フリーランスが案件を獲得する可能性を上げるには、
- クライアントにアピールするためのポートフォリオを作成する
- 自分のサイトや技術ブログ、SNSで情報発信や案件募集を行う
- 獲得したいフリーランス案件の条件を見直してみる
- 企業でエンジニアとしての実務経験を積む
- クライアントに価値を提供することを常に心がける
などが挙げられます。
以下で、1つずつ解説していきます。
1.クライアントにアピールするためのポートフォリオを作成する
ポートフォリオと呼ばれる、
- 自己紹介
- スキルセット
- 保有資格
- 制作物の一覧
- 制作物のURLや機能、使用技術(言語、ライブラリ、フレームワーク、DB、インフラ、ツールなど)
- 制作物のコードがあるGithubのリンク
- 連絡先(メールアドレス、SNS・Qiitaのユーザ名など)
などをまとめた資料を自分のサイトやGitHub Pagesなどで公開し、クライアント側に提示することによって、自身の技術力をアピールしたり、エンジニアとしての実力を証明することができ、案件が決まりやすくなることがあります。
クライアントはポートフォリオを確認することによって、そのフリーランスのスキルレベルを把握し、自社の案件をこなしてくれそうかを判断します。
このため、ポートフォリオはただ作成すればよいのではなく、クライアント側の担当者がポートフォリオの確認にあまり時間が取れないことも想定して、自分のスキルレベルなどをなるべく短い時間で確認してもらいやすく工夫する必要があります。
また、顧客の案件を想定したWordPressによるWebサイトなどを制作物とする場合は、実際にサーバにアップして公開しておき、ID、パスワードが必要なら別途通知しておきます。
スマホアプリの場合は、作成したアプリをApp StoreやGoogle Playにリリースし、そのアプリの情報をポートフォリオに載せておきます。
iOSアプリをリリースするには、Apple Developer Program(11,800円/年)に登録して審査を受ける必要があり、審査に落ちたり時間が掛かることもありますので注意が必要です。
クラウドソーシングで案件を受注する場合は、クライアントに技術的な知識がなく要件や仕様通りに動けばよいという場合が多いので、コードまでは詳しくチェックされないでしょう。
ですが、企業への常駐案件の場合は、現場の技術レベルに合っているかを確認するために、コードに関しても詳しくチェックされることがあります。
そのコードはGithub上で公開することが多いのですが、
- コーディングが雑で可読性が低い
- 変数名やクラス名など命名規則が不統一でわかりにくい
- アンチパターンを知らずに使っている
- 機能を実現するためのアルゴリズムがおかしい
- ライブラリやフレームワークの使い方が間違っている
- MVCやMVVMなどを理解しておらず、処理を書くクラスを間違えている
- プログラミングスクールで作成したクローンサイトのような紋切りのサイト
などの場合は、評価が下がってしまいます。
ですので、実際にプロダクトを制作してコードレビューを受けるような感覚で、オリジナルのアプリを制作してポートフォリオに記載しておくと良いです。
作成したポートフォリオは、必要に応じて改良したり、メンテナンスしていきましょう。
2.自分のサイトや技術ブログ、SNSで情報発信や案件募集を行う
自分のサイトや技術ブログ、SNSなどで情報発信し、案件の募集をすることによって仕事が決まることがあります。
技術ブログで自分の得意分野に関する情報を数多く投稿することによって、クライアント側はそのフリーランスの技術レベルを判断でき、案件獲得に有利に働くことがあります。
最近は、Qiitaに技術関連の投稿をするのが流行っており、技術レベルの高低に関係なく、多くのエンジニアが有益な情報を発信し続けています。
情報発信を通じてフリーランスエンジニアとしての認知度を上げ、その技術レベルをアピールすることにより、案件獲得やキャリアアップがしやすくなります。
また、認知度が高まればエンジニア同士の横のつながりもでき、それらのコネクション経由で案件や会社を紹介されることもあるでしょう。
場合によっては、企業の事業責任者や決裁権者との人脈もつくれ、直接案件のオファーを受けることもあるかもしれません。
3.獲得したいフリーランス案件の条件を見直してみる
未経験の分野であったり、経験の浅い分野であると、どうしても競合に比べて実績が少なく不利になりますので、単価面を含めた条件を見直さないと案件が決まらないということがあります。
ですので、実績が少なく案件をなかなか獲得できない時期は、とにかく条件を下げてでもまずは案件を獲得し、数多くの案件をこなして実績を重ねていくことが必要です。
安く案件を請け負うと、相場が下がる、単価が上がりにくくなる、クライアントに低い単価で再度受注するよう要求されるなどもあるので注意が必要ですが、ある程度の実績を積むことができたら、次第に単価などの条件を上げていき、案件が獲得できなければ再度条件を見直します。
条件を引き下げて案件を受注したら、ただその案件をこなせばよいのではなく、クライアントが仕事を依頼する真の目的やニーズを考え、その要求を上回る仕事をすることで、信頼感や顧客満足度を上げ、自身の高評価につなげることが重要です。
このように案件をこなしていくことによって実績や評価が上がっていき、再度案件を依頼してくれるクライアントも出てくることでしょう。
フリーランスエージェントを利用する場合は、エンジニアとしての実務経験が一定程度あれば、エージェントに調整を依頼することによって、未経験の言語の案件などでもそれなりの条件で獲得できることがあります。
また、どうしてもリモートワークが良いという場合は、リモート案件を得意としているエージェントをいくつか見つけ、複数のエージェントに登録することによって案件獲得の可能性を上げることもできます。
参考記事:フリーランスエンジニア向けエージェント比較【目的別に使い分ける】
4.企業でエンジニアとしての実務経験を積む
実務未経験でフリーランスになったものの案件がなかなか決まらない場合は、一旦フリーランスとして活動は休止してIT企業で実務経験を積むのが良いでしょう。
IT企業で実務経験を積むことにより、実際に企業でどのように業務が行われているかを知ることができ、チーム開発によるコードレビューなどで単独開発よりもスキルアップしやすく、エンジニアとしての市場価値が上がることで案件を獲得しやすくなります。
また、実務経験が長くなるにつれて、単価も上がりやすくなる傾向があります。
クライアント側としても、忙しいとポートフォリオやSNS、技術ブログなどの詳細まで確認する余裕がないこともあるのですが、似ている案件の実務経験があれば、自社での業務も問題なくこなしてくれるという期待が持てるため、実務経験が重視されることが多くあります。
特に現在はエンジニア不足が顕著なので、需要のある分野での一定以上のスキルと実務経験があるエンジニアは引く手あまたです。
IT企業へ就職することによって、一見フリーランスとしての自由な働き方からは遠ざかってしまうような気がするかと思いますが、実務経験を積んでから再度フリーランスになることによって、フリーランス市場でスキル面、経験面において非常に有利になり、他の多くの実務未経験フリーランスとかなり差別化することができます。
実務経験をある程度積むことによって、フリーランスエージェントからも数多くの案件を紹介してもらえるようになり、案件の獲得が不安定になりがちなクラウドソーシングを利用したり、成果が出ないことも多い自分での営業をすることなく、高単価の安定した継続案件を獲得することができます。
このように、一見時間が掛かって遠回りに見える方法ですが、最終的にはより安定したフリーランスライフを送ることができるのです。
IT企業へ就職ないし転職する場合は、自社開発企業を狙うことをオススメします。
全てではありませんが、自社開発企業の方が他のIT企業よりもスキルアップしやすく、稼働も比較的安定していることが多いのが特徴です。
ただ、自社開発企業への就職や転職は一定のスキルレベルが要求されることが多く、入社が難しいことが多いので、あまりスキルに自信がない場合は独学ではなく、プログラミングスクールを活用する方が良いでしょう。
プログラミングスクールの中には、転職保証を行っていたり、転職エージェントをしている会社が運営していることもありますので、自社開発企業への入社できる可能性が高くなります。
IT企業の中にはSES企業というエンジニア未経験でも入社しやすい企業もありますが、それらの会社はエンジニアを他の企業に派遣するのが主で、自社での開発を行っている企業はほとんどありません。
また、派遣先の企業ではスキルアップしにくいところも多く、優良な企業に派遣されることもありますが、非常に運要素が大きくなるため、あまりオススメできません。
ですので、どうしてもプログラミングスクール代を用意できないという事情がない場合は、自社開発企業への転職率が高いスクールで学習する方が良いでしょう。
以下の記事で、有料または無料のプログラミングスクールを選ぶコツについて解説していますので、ご興味がある方は確認してみてください。
参考記事:プログラミングスクールの選び方のコツとは?【目的別に選んでみる】
参考記事:ITエンジニアが自社開発企業で働くメリットとデメリットとは?
参考記事:SES会社から自社開発企業へ転職する方法【効率的にスキルアップ】
5.クライアントに価値を提供することを常に心がける
フリーランスとして働き始めたばかりだとどうしても、案件は獲得しやすさや単価の多寡、作業の難易度などに気を取られ、クライアントに対しても自分本位の提案をしてしまいがちです。
ただ、クライアントは自分達のビジネスを加速させ、最終的に売上や利益を上げるためにフリーランスに案件を依頼しているのであって、決してフリーランスに食い扶持を与えるためではありません。
ですので、フリーランス自身もクライアントのビジネスがどうすればより良くなるのかを考えて、クライアントが要求する以上の踏み込んだ提案をしていかないと選んでもらうことは難しくなります。
このようにクライアント目線でどうすれば価値を与えられるかということを考えて行動していれば、案件を獲得した後も、クライアントを安心感を与えるために進捗連絡などを頻繁にしていくでしょうし、成果物の品質は自然と高くなり、納期も必ず厳守するようになります。
また、クライアントが気づいていない課題や問題点を指摘してあげることによって、当初予定されていない機能を追加実装してあげることもできます。
要求されなくても手順書やマニュアルなどの資料を作成してあげたり、納品後も問題がないように必要なサポートを提供することもできるでしょう。
このように、クライアントに価値を提供することを意識して仕事を行っていけば、評価や顧客満足度が上がり、他のフリーランスと差別化できるばかりか、他の案件を指名で任せてくれる可能性が上がります。
参考記事:エンジニアの市場価値を高める3つの方法とは?【今すぐ行動しよう】
フリーランスとしてのキャリアパスを描くことの重要性
フリーランスは会社員とは異なり、営業も自分でする必要があるため、案件の獲得がうまくいかないと、実務やスキルアップのための時間を十分に取れなかったり、本来休むべき時間も作業に充てざるを得なくなることがあります。
また、クラウドソーシングなどの単発案件だけをこなしていると、どうしても目先の案件をこなすことに意識が集中してしまい、将来自分がどのようなフリーランスになっていきたいのかというビジョンを明確に描いて、長期的視点でキャリアアップしていくことが難しくなってしまいます。
厳しいことをいえば、エンジニアとしての市場価値を向上させていかなければ、当初思い描いていた自由で柔軟な働き方を実現することはできません。
このようなことを避けるには、以下の点に留意する必要があります。
- できれば営業は他に任せて、実務やスキルアップに専念する
- 経験の浅いうちはクラウドソーシングでの仕事をメインにしない
- なるべくフリーランスエージェントを利用するようにする
一つずつ解説していきます。
できれば営業は他に任せて、実務やスキルアップに専念する
フリーランスは基本的には自分で営業を行って案件を受注し、実務も1人で行うことが多いです。
そのため、役割分担が明確な作業員と比べて作業負担が増え、明確な定休日がなく、しようとすればいくらでも仕事ができるため、休養が十分に取れずに体調を崩してしまうことがあります。
ただ、営業はしたからといって必ず案件を獲得できるわけではなく、時間や労力が無駄になることも当然あります。
その時間や労力を実務やスキルアップに充てる方が、結果や効果が出やすく効率が良いです。
フリーランスだからといって、営業も実務もすべてを抱え込むと、いずれパンクしてしまいます。
ですので、自分で営業した方がより高単価になる、案件をバンバン獲得できて他のフリーランスに回すことでマージンが取れる、他のフリーランスがアプローチしない新しい顧客を開拓するなどの理由がない限りは、クラウドソーシングやフリーランスエージェントを利用して、営業の手間をできるだけ軽減するようにしましょう。
その際に中間マージンなどの経費が発生しても、それは営業代行料として許容し、実務やスキルアップに専念できる時間を確保します。
エンジニアの本分は技術力で問題や課題の解決に貢献することなので、営業や顧客の新規開拓はできるだけフリーランスエージェントに任せるか、その手間や時間を軽減できるようにクラウドソーシングサイトなどのマッチングサイトを利用しましょう。
経験の浅いうちはクラウドソーシングでの仕事をメインにしない
クラウドソーシングは自宅から出なくても案件を獲得できることもあるのが大きな魅力ですが、競合が多く単価が低いことが多いため、技術力が要求されて一定の需要があり、単価もそれなりにある案件を意識して選ばないと生活できるレベルの収入を得ることが難しくなります。
期間の短い単発案件が多いため、案件が終了すればまた案件を獲得しなければならず、案件がうまく決まらないと収入が途絶えて焦ってしまうこともあります。
中には炎上案件の一部が切り出されたような案件も存在しており、まともな業務説明もなく月200時間も掛けたのに結局報酬が支払われなかったということもあるようです。
想像していたのと違ったなどという理由や難癖をつけられて検品不合格となり、報酬が支払われないこともあるので注意が必要です。
クラウドソーシングの案件は基本請負契約で、完成した成果物に対して報酬が支払われるので、なるべく短期間で完成させればそれだけ時間当たりの報酬額も上がります。
ただ、契約時に要件や仕様が明確になっていないと、作業途中で仕様変更や仕様追加を要求され、本来は追加報酬を請求すべき場面でもトラブルになるのを避けるために渋々受け入れざるを得ないこともあり、納期に間に合わせるために睡眠時間などを削って対応すると時間あたりの報酬額が下がってしまいます。
このように、完成の基準が不明確になりがちで、検品合否の決定権がクライアント側にあり、適当な理由をつけて不合格にできるため、当初予定になかった仕様の追加や変更など、不当とも思える要求も受け入れなければならないことがあります。
また、個人での開発はとりあえず動けばよいという実装になりやすくスキルが伸びにくいので、エンジニアとしての市場価値が上がらず、単価も上がりづらくなります。
ですので、
- 副収入を得るのが目的
- 事情があって自宅でしか働けない
- 年齢的にIT企業で経験を積むのが遅すぎる
- 報酬が支払われなくても授業料として受け入れられる
などであれば別ですが、経験の浅いフリーランスがクラウドソーシングで獲得した案件をメインに生活費を稼ごうとするのは無謀です。
簡単にフリーランスを始められるからといって、安易にクラウドソーシングを利用するのではなく、自分のキャリアや利用する目的、リスクをはっきりと認識した上で利用するようにしましょう。
なるべくフリーランスエージェントを利用するようにする
エンジニアとしての経験が浅いうちは企業で実務経験を積むことに専念し、ある程度の実務経験を積んだらフリーランスエージェントを活用して案件を獲得、安定して案件をこなせるようになったら、よりステップアップするために自分で営業していくのが高単価などの好条件案件を獲得すしやすい方法です。
初めからフリーランスとして1人で開発していくのではなく、企業に常駐してチーム開発の経験を積み、コードレビューなどで技術を研鑽していく方がスキルアップしやすく、実務経験も積め、市場価値が上がりやすいです。
市場価値が上がれば、安定的に案件を獲得でき、高単価案件も受注しやすくなるし、他の条件面でも企業側が譲歩してくれやすくなります。
そのため、フリーランスとしてより自由で柔軟な働き方を追求しやすくなり、フリーランスを志す人が当初思い描いていたであろう理想の働き方に近づくことができます。
フリーランスエージェントとの契約は準委任契約か、月毎の作業報告書を成果物とする請負契約となっていることが多く、現場での業務を問題なく行えていれば、クラウドソーシングで案件をこなすよりも気楽に働けます。
具体的なキャリアパスとしては、
- スキルアップできる自社開発企業に転職して実務経験を2年以上積む
- 在職中にフリーランスエージェントに登録して、案件を紹介してもらう
- 更に実務経験を積みつつ、自分でも営業を行い、より好条件の案件を獲得する
とするのがオススメです。
自社開発企業でも好条件を用意しているところもありますので、フリーランスにならずにそのまま働き続けるのも良いでしょう。
この自社開発企業に入社するというのが一番の難関で最も苦労するところですので、自社開発企業への転職率が高いプログラミングスクールを活用してスキルアップをサポートしてもらい、自社開発企業への転職可能性を高めることが必須です。
その際、クラウドソーシングで案件を取りやすい開発言語とエージェント経由の高単価案件で使われる開発言語は同じとは限らないので、高単価案件や週2、3日案件、リモートワーク案件ではどのような言語やフレームワークが使われているのかを事前に確認してからキャリアパスを描く方が、途中で使用言語やフレームワークを切り替えずに済むので効率的です。
将来的に起業を考えている場合でも、実務経験を数年積んでから長期の週2、3日案件やリモートワーク案件を紹介してくれるエージェントに登録した方が、短期のWebサイト開発案件などを受注し続けるよりも安定していて本業に注力しやすいでしょう。
このようにフリーランスエージェントの活用を想定してエンジニアとしてのキャリアパスを考えることで、クラウドソーシングサイトを使った働き方を続けるよりも、自由で安定した働き方を追求しやすいといえます。
最後に
いかがだったでしょうか?
フリーランス案件が決まらないといっても様々な理由があり、どうすれば安定して好条件の案件を獲得していけるのかがおわかりいただけたかと思います。
自由な働き方に憧れて安易にフリーランスになろうとする人もいますが、簡単にその働き方を実現できるほど甘い世界ではありません。
ですが、再現性の高いキャリアパスを歩んでいけば、絶対に実現できないというわけではないのも事実です。
相当な覚悟と努力が必要ですが、自由で柔軟な働き方を模索している人にとっては、挑戦する価値がある仕事といえるでしょう。
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