エンジニアのみなさんはIT系の資格を持っていますか?

「資格を取得したいけど、どうやって勉強したらよいかわからない…」
「資格って本当に役に立つの?」
「IT系の資格はどんなときに役に立つの?」
「未経験でエンジニアに転職したいけど、資格をとっておくべきか悩んでいる…」
「IT系の資格を持っているけど、評価されてない気がする…」
「資格手当ってどれくらいもらえるの?」

など疑問を持たれている方もいると思います。

IT系の資格取得に関して調べたことがある方であればわかると思いますが、他のサイトやブログでは、

「資格取得は転職などで役に立つ」
「いや資格取得は必要ない」

などと意見が真っ二つに分かれています。

この記事では実際にIT業界で働いているエンジニアとしての経験を踏まえ、IT系資格取得のメリットとデメリットを解説していきます。

エンジニアにとっての資格の必要性は?【資格のメリットとデメリット】

IT系資格取得のメリットとしては、

  1. 資格手当をもらえる
  2. 資格取得で知識や技術を平準化できる
  3. IT業界の包括的で教養的な情報を得られる資格もある
  4. 努力や意欲を評価してくれる場合もある
  5. 案件獲得の営業がしやすい場合がある

などが挙げられます。

こちらは資格取得者自身のメリットとなる場合と、その資格取得者が所属している会社のメリットとなる場合の2つがあります。

IT系資格取得のデメリットとしては、

  1. 受験料がかかる
  2. 勉強するのに時間と労力がかかる
  3. すぐに試験を受けられない場合もある
  4. 資格手当をもらえない場合もある
  5. 取得しなければ業務ができないわけではない
  6. 資格を取得したからといって実務ですぐに使えるとは限らない

などが挙げられます。

こちらも資格取得者自身のデメリットとなる場合と、その資格取得者が所属している会社のデメリットとなる場合の2つがあります。

続きの記事で1つずつ解説していきます。

IT系資格を取得するメリット

1.資格手当をもらえる

資格の対象や金額は所属会社によってまちまちですが、資格取得を推奨している会社では資格手当がもらえることがあります。これには、合格時に一時金を受け取る場合と、毎月資格手当を受け取れる場合があります。

試験に合格すればたいてい受験料も支給されますので、1回で試験に合格すれば持ち出しはない状態で金銭的利益を得ることができます。

私が以前所属していたSES会社では、例えば応用情報技術者の資格取得で毎月2万5千円を支給しており、その後の制度改定で全体的に支給額が下げられたのですが、制度改定前に取得した場合は改定前の金額で支給してくれたため、その他の資格手当と合わせて月に合計5万円ほど資格手当をもらっていました。

基準が不明瞭であることが多い昇給と比べて、資格手当は対象資格と金額が明確化されているので、学習のモチベーションが上がりやすくなることもメリットの1つです。

2.資格取得で知識や技術を平準化できる

主に企業側のメリットですが、資格取得を義務づけることでエンジニアの知識や技術レベルを平準化し、すべてエンジニアをある程度以上のレベルとすることができます。

IT系に関する前提知識がすでにある状態で実務を行えますので、知識や技術がまったくないことで業務が全く捗らなかったり、意思疎通ができないということを事前に回避できます。

ただ、IT系の資格は知識を問うものがほとんどで、技能試験がある資格もありますが、数が限られていたり、レベルが高かったり、受験料がかなり高額だったりすることがありますので、技術の平準化という意味ではあまり役に立たなかったりします。

3.IT業界の包括的で教養的な情報を得られる資格もある

これは基本情報技術者のことですが、それを取得しておけばITに関する広範な知識を事前に身につけることができます。

このため、教養的な情報について事前に知った状態で業務を行うことができます。

4.努力や意欲を評価してくれる場合もある

資格取得が一定水準の知識、能力水準の証明となり、それが評価してもらえることもあります。

エンジニアとしての業務未経験の場合は、資格取得で努力や意欲を買われてポテンシャル採用される可能性もあります。

現役エンジニアにとっても、スキル、実務経験、人柄などの他の条件がほぼ同じであれば、資格を取得している方が良いのはいうまでもありません。

5.案件獲得の営業がしやすい場合がある

これも主に企業側の話ですが、IT系の資格取得者が多い会社の方がシステム開発の受注をしやすい場合があります。

特に官公庁向けのシステム開発をする会社に顕著ですが、IT系の特に国家資格取得者が多い方が受注しやすいこともありますので、会社としてそれらの資格取得を積極的に進めており、ホームページでエンジニアの取得資格や取得人数を公開しているところもあります。

これは単純に、より高度なIT系国家資格を取得しているエンジニアの方が能力が高いとみなされているというのもあると思いますが、それらの国家資格制度を運営するIPA(情報処理推進機構)が一部の官僚にとっての天下り先であり、そこが実施している資格試験制度を正当化したいという思惑もあるのかもしれません。

IT系資格を取得するデメリット

1.受験料がかかる

単純に資格取得のための受験に費用がかかります。所属会社が定める資格試験に一発で合格した場合は会社が負担してくれることもありますが、試験に落ちた場合はその分の受験料は自分で負担しないといけません。

IT系の国家資格であればそれほどの金額ではありませんが、ベンダー系の資格であれば1万~数万円程度することは普通で、数日間の技能試験を含む資格の場合は数十万円することもあります。

試験に落ちて受験料を負担するリスクは、当然のことながら受験者自身が負うことになります。

2.勉強するのに時間と労力がかかる

資格試験合格を目指すには当然学習の時間と労力がかかります。

資格の種類によっては実務経験でほとんどカバーできてしまって、受験勉強をすることなく合格することも珍しくないものもありますが、前述のように落ちた場合の受験料は受験者が負担することになりますので、リスクを取りたくない場合はしっかり準備をして試験に臨むことになります。

そのため、資格取得を目指さなければ他の学習やスキル向上に使えたであろう時間が使えなくなってしまいます。

資格を取得しても実践的な知識や技術が身につくとは限りませんので、優先順位づけを誤ると時間や労力の割に大したメリットがなかったということもありえます。

3.すぐに試験を受けられない場合もある

ベンダー系の資格試験は事前に予約しておけば、ほぼ毎日数多くの試験場から選んだ場所で試験を受けることができますが、IT系の国家資格の場合は試験が年2回やものによっては年1回というものもあります。

そのため、試験に落ちたら次は半年後あるいは1年後ということになり、転職のために試験合格を目指していた場合はその計画が狂ってしまいます。

4.資格手当をもらえない場合もある

取得した資格が所属会社の資格手当の対象ではなかった場合は、当然受験料すらも受け取ることはできません。

会社側としては資格取得を推奨して所属エンジニアのスキルを向上させ、より売上を上げられるサービスを開発してもらったり、より単価の高い現場に派遣したいと考えるかもしれませんが、当然資格手当を支払うと会社としての利益は減少してしまいます。

所属エンジニアに資格手当を支給してもそれ以上の利益を得られるとは限りませんので、手当を支給する対象資格を制限していたり、支給額に上限を設けていることがあります。

また、私の場合は以前所属していたSES会社に入社して早いうちから資格手当を毎月5万円ほどもらっていたため、2年以上在籍していたにもかかわらず、昇給はありませんでした。

このように、資格手当をもらいすぎると昇給がないこともあります。

5.資格を取得しなければ業務ができないわけではない

これもよく言われることですが、医師や弁護士のように資格がないと業務を行えないわけではありません。

ですので、資格なしでも実際の業務を問題なく行うことは可能ですし、すでに実務経験で資格範囲をカバーできてしまっている場合は、資格取得による知識的、技術的メリットはまったくないことになります。

6.資格を取得したからといって実務ですぐに使えるとは限らない

数日間の技能試験があるような資格の場合は実践的な能力を証明することができますが、知識の確認がメインの資格試験の場合は実務に必要な能力を証明するのが難しく、資格を取得しても実際の業務ですぐに役に立つとは限りません。

ただ、前提となる知識があれば、ない場合と比べて業務を覚えるのは速いかもしれません。

結論:IT系資格は取得した方がよいのか?

以上、IT系の資格試験のメリットとデメリットをまとめてみましたが、いかがだったでしょうか。

資格を取得すべきかどうかは意見が分かれるところですが、私の結論は、

  1. 資格取得の優先度は低い
  2. 会社に義務づけられている場合は取得すべき
  3. 資格手当をもらうよりも転職やフリーランスエンジニアへ転向した方がより収入が上がる

です。

1に関しては、資格取得は実務的知識の補完という側面もありますが、そもそも実務で身につかなかった知識を資格取得で補ったところで実務で役に立つのかという疑問もありますし、資格を取得しなければ業務を行えないわけではない以上、転職などして新しい知識や技術が必要になったら業務の中で身につけていけばよいのです。

それでも取得したい資格があれば、時間と労力を注ぎ込むのは自由ですが、ほとんど知識や技術が実務に役に立たない資格を取得するよりも、もっと実践的な技術の向上やポートフォリオの作成を行う方がスキルアップの近道でしょう。

特にエンジニア未経験の初学者はスキルシートに書くために資格取得を目指している人もいると思いますが、エンジニアとしてのポテンシャルを評価してもらいたいのなら、ポートフォリオを作成してコードや実際に動いているものを面談時に見せる方がよっぽど評価してもらえます。

仮に時間や能力の問題でポートフォリオが実際に見せられるレベルに達しなかったとしても、個人で開発したポートフォリオを個人開発としてスキルシートに書くことで意欲をアピールすることはできますし、その方が取得した資格を書き込むよりもはるかにスキルシートを埋められます。

私は案件ガチャを知らずにSES会社に入社しましたが、2社目の面談の時点ではポートフォリオを提出することまで事前の知識がなく、意識も回らなかったものの、以前つくった2、3個のツールの詳細をスキルシートに記載しておいたところ、それが評価されて比較的モダンなアタリの現場に入ることができました。(ちなみに1社目は面談で初心者丸出しだったのでまったく受かる気がせず、業務内容も興味がなかったので、結果が来る前に1日で辞退しました。)

ですので、資格取得よりももっと他のことに時間と労力を割いたほうが良いと思います。

特にエンジニアへの転職を目指している未経験者には、資格勉強や独学よりももっと効率的で短期間に転職を可能にする方法を紹介しています。資格取得のためのスクールもありますが、そんなところにお金を注ぎ込むのは無駄でしかありませんので、以下の記事を読んで参考にしてみてください。

記事:未経験者の独学には限界がある理由【最短でエンジニアに転職する方法】

それでも、2のように会社から取得を義務づけられている場合は、その資格を取得するしかありません。

ここでは詳しく書きませんが、エンジニアであればみんな知っているであろう渋谷の某メガベンチャーでも
新卒入社のエンジニアにある資格を受けさせ、合格できなかったら2週間でクビになるという話を聞いたことがあります。

このように資格取得を重視している会社もありますので、会社の方針がある場合はそれに従えば良いと思います。

また3に関しては、収入を上げたいのなら資格手当目当てでちまちま資格を取得するよりも、さっさとスキルアップしてそのような給料の低い会社からより給料が高い会社へと転職するか、フリーランスエンジニアに転向した方がよっぽど稼げます。

特にあなたが、SES会社に所属していて給料が低いと感じている場合は、以下の記事を参考にされることをオススメします。

記事:SES会社の給料が安い理由【エンジニアの給料を上げる方法】

おすすめの記事